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13日の金曜日

13階を飛ばしたマンションのエレベーターに飛び乗って、重力に逆らえば
彼方で君が呼んでいた

僕はヒラヒラと手を振る
君は優しく笑う


ふと後ろを返り見れば、君がいた
でもそれはどこか君らしくはなくて
僕が手を伸ばすと、君も何かを差し延べた
それから吐き出されるけたたましい音

僕の胸に刺さる銀色の結晶
鮮やかな赤がざわざわと漏れたけれど、不思議と痛みは感じない


視線を戻してみても、そこに君の姿はなくて
首を傾げる僕の頭上で啜り泣く声がした
見上げると僕がいる箱の上で、君が泣いていた

泣かないで
大好きな君

泣かないで

例えこの箱が僕の胸から流れ出る鮮血で満たされようとも
君への想いは変わりはしないのだから

例え僕の胸に刺さる銀が君によるものであったとしても
君への憧れは変わりはしないのだから

例え今日と言う日が君と僕の別れの日であったとしても
君への愛は変わりはしないのだから

だから

ねぇ
泣かないで

13日の金曜日という素敵な日をどうか忘れないでいて

この日が君の永遠となることを心から祈っているよ



愛しい君に捧ぐ





13日の金曜日








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あきゅろす。
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