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memory
記憶に残るモノ全てが、遥かに美しいなんて事は有り得なくて
それでもその中に一際輝くものがあるとすれば
あの時差し出された手は、どこかいつもとは違っていた
元々いつでも傷だらけではあったけれど
あの時はひどくくたびれていて、彼等がいつも纏っていた眩しさは息を潜めて泣いている様だった
その時思った
助けて、あげなきゃ
この手は差し出されたんじゃない
俺を、助けを求めて伸ばされたモノで
こんなにも切ないそれを振り払って逃げる術を
俺は知らない
あの時握った冷やかな手は今、子供の様に温かくて
それでも俺を放してくれないのは
俺がその手を放せずにいるのは
幸せ過ぎる日々がこの手を結んでいるから
記憶に残るモノ全てが、遥かに美しいなんて有り得なくて
それでもその中に一際輝くモノがあるとすれば
俺はソレを思い出と呼ぼう
memory
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