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短いの
本文2

(´・ω・`)「あの写真、変なんだ…」

放課後、教室に残ってgdgdしていた俺と内藤の所へ来て、ショボンは言った。

つと机の上に出された件の写真。
内藤とショボンが写っている。

(´・ω・`)「どこか変わったと思わない?」

言われてまじまじと写真を見つめた。
当然最初に目が行くのは「何か」写っていた水面。

('A`)「…あれ、こいつ、こんなんだっけ」

始め見たときには水面下にぼんやり見えていた「それ」は、水から顔を出してはっきりと写っていた。

髪が殆ど抜けた頭、土気色の肌、見開かれた目。

男なのか女なのかは分からない。
ただ口元を歪めたその表情は笑っている様に見えた。

(´・ω・`)「気付いたらそうなってた」

('A`)「…気味悪ぃ」

血の気がひいた、という状態だっただろう。
その中で唯一内藤だけが浮かれていた。

( ^ω^)「なんかおもすれー事になってるおwコレ(某誌)に送るおwww」

(´・ω・`)「あ、ちょっと」

内藤がショボンから写真を取り上げて一人大はしゃぎしていた。

('A`)「おい…よそうぜ…」

( ^ω^)「何びびってんお、僕が送ってやるから明日ネガ持って来いお」

('A`)「…」


家に帰った俺は、ネガを庭で燃やした。
翌日学校で内藤に問い詰められたが、「無くした」と言ってごまかした。

それきり内藤は何も言ってこなかった。
それで全部終ったと思っていた。



俺たちが通っていたV小は、裏庭に古井戸がある。

昔子供が落ちる事故があったとかで、生徒が近付かない様有刺鉄線の高い柵で囲われていた。


その井戸に落ちて、ショボンが死んだ。




通夜にはクラス全員が出席した。

普段ショボンと話した事も無い女子たちが、円陣組んで盛大に泣いていた。

俺は泣けなかった。

薄情と言われても仕方ないかもしれないが、どうしても疑問があった。

ショボンは運動の出来る奴ではない。
何せジャングルジムも登れない奴だ、あの高い柵を乗り越えて井戸に近付くなんて出来る筈が無かった。

それより何より、何の為にショボンは井戸に近付いたのか?
普段蓋をされている井戸にどうして落ちたのか?



通夜に内藤は来ていなかった。
そのまま内藤は学校にも来なくなった。





( ^ω^)「…」

('A`)「よう」

内藤の家を訪ねたのは、九月の終る頃だった。

('A`)「親は?」

( ^ω^)「カーチャンは買い物だお」

久しぶりに会った内藤は少し痩せた様にみえた。

通された内藤の部屋は相変わらず散らかっていた。
カーテンを締め切った暗い室内。
畳の上に散乱する漫画本を避けて俺が座ると、内藤は部屋の隅で膝を抱えた。

('A`)「お前さ、何で学校来ねえんだよ」

内藤は答えない。
俺は続けた。

('A`)「ショボンのお通夜にも来なかったよな、あれからだよな」

内藤は黙っている。
俺は声を荒げた。

(#'A`)「お前何か知ってんだろ!なんで黙ってんだよ!!」

内藤がようやく顔を上げた。

( ^ω^)「あの写真…」

('A`)「あ?」

( ^ω^)「机にしまったまま忘れてたんだお、それをこの前思い出して」

内藤の視線は泳いでいた。
やおら立ち上がり、机の引き出しの一番上の段を開けて写真を取り出した。

('A`)「これは…」

写真は、ショボンが写っていた右半分を切り離されていた。
写真の左半分で、内藤だけが笑っている。

( ^ω^)「それで、見てみたらまた変わってたんだお」

('A`)「どんなふうに?」

( ^ω^)「顔しか出てなかったのに、今度は水から手を出してて、怖くなって、それで」

('A`)「それで、自分が写ってるトコを切り離したんだな」

( ^ω^)「しばらくして…ショボンが死んだんだお」

写真を握る内藤の手が震えていた。

(#'A`)「なんでそん時ショボンも切り離さなかったんだよ!?」

( ゚ω゚)「僕だってそうしたかったお!でもその時にはもう"あれ"がショボンの足を掴んでて無理だったんだお!」

内藤の剣幕に気圧されて俺は黙るしか無かった。
静まり返った室内に、内藤の荒い息遣いだけが響く。向かい合わせに二人立ち尽くしたまま、ただ時間が過ぎた。

どれくらい、そうしていただろうか。
糸が切れたように、内藤はへたりとその場に座り込んだ。
見下ろす俺から表情を伺う事は出来ない。

('A`)「写真のもう半分は」

(  ω )「…引き出しだお…」

開いたままになっていた一番上の引き出し。
奥まで手を突っ込むとかさ、と小さく音が鳴った。
片面の滑らかな感触を確かめて取り出すと、半分に切れた写真が出てきた。

('A`)「…うっ…」

言葉を、失った。

水の中から完全に姿を現した人間の形をしたもの。
土気色の爛れた肌、棒切れの様に細い手足。
不気味な笑みを浮かべたそいつが、ショボンの体にしがみ付いている様が写っていた。

足元で、内藤の嗚咽が聞こえた。






その後も、内藤が学校に来ることは無かった。
転校した事を先生に知らされたのは、それからしばらく経ってからだ。

内藤とはそれきり連絡を取れていない。


('A`)池沼にまつわるエトセトラのようです・終

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