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短いの
本文1
昔、小学生の時だからもう十年以上前になるか。

当時はトイレの花子さんやら口裂け女やら、そういった類のオカルトな都市伝説が流行っていた。

ああ自動書記なんてのも有ったな、あれは紙と鉛筆を用意して…

俺はその類の話をあまり信じていなかったし、今でもそうだ。

だからあの時の事も、未だに信じられないでいる。









『('A`)池沼にまつわるエトセトラのようです』


V市にはV市立自然公園と言う名前の広大な藪があった。

インドア派の自分はそんな藪に好き好んで近寄る事も無かったので知らなかったが、そこには大きな池があって、

(´・ω・`)「その池で写真を撮ると心霊写真がとれるらしいよ」

あまりに鬱蒼とした様子からそんな噂が立っていたらしい。

その噂を俺と内藤に教えてきたのは、女子もひく程オカルトに詳しいショボンと言う友人だった。

心霊番組が流行っていた最中だ当然、

( ^ω^)「心霊写真撮ってテレビで紹介されたら俺ヒーローwwwww」

と言う流れになり、

('A`)「俺パス、お前らだけで行ってこい」

と言う意見はあえなく却下されのだった。

夏休みも終わりに近づいたあの日。
カメラを持ってくるよう言われた俺が、もしあの場所に行かなければ、

…あんな事にはならなかっただろうか。







(´・ω・`)「昼間だけどふいんき(なぜか変換出来ない)出てるね」

( ^ω^)「早くも蚊に刺されたおwww帰りてぇwwww」

(´・ω・`)「早く言いなよもう、ほら虫除け」

( ^ω^)「しかも塗るタイプかお…」

('A`)「居た居た。おーいお前ら、遅れてすまんかった」

( ^ω^)「遅ぇ」

('A`)「親のカメラ持ち出すのに手間取ったぜ」

ほら、と鞄からカメラを出してみせると、内藤が「イヤッホゥ!」と大袈裟に喜んでみせた。

(´・ω・`)「じゃあ行こうか」

('A`)「あっ、痒い。やられた」

(´・ω・`)「虫除けあるよ」

('A`)「なんでスプレーじゃないんだよ」

(´・ω・`)「うん、塗るタイプなんだ。すまない」

ショボンから渡された虫除けを、腕や足にこれでもかと塗りたくった。
塗るタイプには解せないが、揮発する時のスースー感は心地よかった。

藪を掻き分けて進むと、確かにそこには池があった。
鬱蒼としてるものの二人の友人が期待していたようなおどろおどろしさは無く、
藪の中に濁った水が溜まっているだけ、と言う印象だった。

(´・ω・`)「なんだ、案外普通」

案の定、ショボンは少しがっかりした様子だった。

( ^ω^)「さっさと写真撮って帰るお、刺されたトコが痒いお」

(´・ω・`)「そうだね」

俺がカメラを取り出すと、二人は池の端に並んで両手でピースサインを突き出してきた。

('A`)「撮るぞー」



…ぴしゃん。





シャッターを切った瞬間、足元の水面で何か動いた気がした。









後日、出来上がった写真を持ってショボンの家に行った。

俺はまだ写真を確認していない。
友人二人と一斉に見て盛り上がる心積もりだった。

('A`)( ^ω^)「おいすー」

玄関から声を掛けると、廊下の奥からショボンがひょっこり顔を出した。

(´・ω・`)「やぁ、ようこそ」

('A`)「写真持ってきた、なんか飲ませろ」

(´・ω・`)「麦茶で良い?」

( ^ω^)「おやつも要求するお、ポッキーとピザポテトを出すお」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」

茶の間で出された麦茶を一気に飲み干した。
それを見計らってショボンが早速本題を切り出す。

(´・ω・`)「写真、見ようよ」

俺たちはwktkしながら写真を袋から出した。

そういえばあの時、フィルムが勿体ないと言って色々撮ったのだった。関係ない写真も何枚か出てくる。

蟻の行列、公園の砂場、馬鹿ヅラで写る内藤。

('A`)「あ、コレだな」

池の前で撮った写真。
両手ピースで並ぶ内藤とショボンが写っている。

(´・ω・`)「あ…」

ショボンの足元の水面。
水面下に漂うかの様に、人の顔の様な物がぼんやりと浮かんでいた。

他にも何枚か同じ場所を撮った物があったが、それらに変わったものは写っていないようだった。

…という事は、

('A`)「コレっぽいな」

( ^ω^)「心霊写真ktkr!…でもなんか地味だお」

ああでもないこうでもないと盛り上がる俺と内藤。
それをよそに、ショボンは写真を眺めて何度も首を傾げていた。

( ^ω^)「うし、早速これを(某局)に送るおw」

(´・ω・`)「あ、ちょっと待って」

写真を食い入るように見ていたショボンがようやく口を開いた。

(´・ω・`)「この写真、しばらく借りてもいいかな」

その理由はよく分からなかったし、ショボンも言わなかった。

(´・ω・`)「始業式まで借りるね」

その後しばらくはゲームの対戦で盛り上がった。
夕方になり、ショボンの両親が帰ってくるとお開きになった。

('A`)「そういや宿題やってねーな」

( ^ω^)「おっおw仲間が居たおwww」


月末の三日間を宿題漬けで過ごした俺たちが、次にショボンと顔を合わせたのはやはり始業式だった。

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あきゅろす。
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