短いの
本文2
('A`)(鼻が・・・・)
ノ(゚ー゚*リそ「あの子どう見てもドクオに気があるじゃん!」
(;'A`)「アレのどこがだ!? ツンツンにも程があるぞ!」
ノ(゚ー゚*リそ「いーや、俺の見立てでは間違いなくドクオにホの字だね。
もはや嫁だな、あの子はドクオの嫁!」
(;'A`)「ホの字とかいつの言葉だよ! あんな狂暴な嫁要らねえよ!!」
('A`)「・・・・ん?」
我が事の様に喜びはしゃぐ“対象a”
その手はAYAKASHIの箱を掴んで振り回していた。
('A`)
ノ(゚ー゚リそ
ノ(゚ー゚;リそ「いや、これは、その」
('A`)
ノ(゚ー゚;リそ「・・・・ピンクの子、可愛いよね」
('∀`)b「やってみるかい?」
但し、伊賀路さんは俺の嫁だぜ。
ノ(゚ー゚リそ「エロシーン無駄に長ぇwww」
('A`)「抜きゲーでもないのにコレは萎えるよな」
ノ(゚ー゚リそ「寧ろエロ要らなくね?」
(*'A`)「・・・・わかってるじゃねぇか兄弟、飛ばすぜ」
('A`)「あ、悪ぃ、頭の台詞も飛んだ」
ノ(゚ー゚#リそ「死ね!」
この日を境に、俺は“対象a”の前でエロゲをする事に抵抗が無くなった。
本人が気にしないというのなら、もう遠慮も何も無いだろう。
('A`)「美魚ちんはもっと評価されるべきだろ・・・・常考」
ノ(゚ー゚リそ「ドクオー携帯携帯ー」
('A`)(・・・・実家)
ノ(゚ー゚リそ「お前伊賀路さんは嫁なのにアネゴには興味無しなの? なんなの?」
('A`)「伊賀路さんとアネゴが同じに見えるようならまだまだだぜ兄弟。
・・・・さて、と」
着信音が止まったところで、俺はPCラックの下に投げていたエコバッグを手繰り寄せた。
('A`)「・・・・職を探す」
ノ(゚―゚リそ
エコバッグから取り出したのは、主にアルバイトの求人を掲載した求人情報誌。
それを見た“対象a”は、いつになく真剣な表情で俺と向き合った。
今までは俺一人、実家の仕送りだけでなんとかやってきた。
しかし“対象a”は育ち盛りの子供、この先食わせていくには心許ない。
それに・・・・そろそろ俺も変わる時だ。
ノ(゚―゚リそ「ドクオ・・・・」
('A`)「勘違いするなよ“対象a”、これは別にお前の為じゃない。
俺がこの先の人生を切り開いて行く為の大いなる」
ノ(゚―゚リそ「・・・・病院、行こうか」
('A`)
求人情報誌を片手に電話をかける日々が始まった。
アルバイトとはいえ、仕事を見つけるのはそう簡単ではない。
不景気でもあるが、何より俺に一切の経験が無いと言うのが問題だった。
( ・∀・)「浪人生・・・・バイト経験も無し・・・・
ねぇ、今まで何してたのかな?かな?」
('A`)「それは・・・・」
現実は割と厳しい。
ノ(゚ー゚リそ「お帰りー」
('A`)「おう」
「面接どうだった?」などと“対象a”から聞いてくる事は無い。
いつも通り、食事を作って待っているだけだった。
(;'A`)「蕎麦まで打てるのか・・・・」
ノ(゚ー゚リそ「蕎麦粉七割、繋ぎには布海苔を使用してみました」
('A`)「地元は新潟か?」
ノ(゚ー゚;リそ「お前何で小千谷蕎麦なんか知ってるんだよ」
職探しを始めて一ヵ月が過ぎようとしている。
心配させまいと今まで愚痴をこぼさない様にしてきたが、
俺はなんだか無性に弱音を吐きたくなって、台所の“対象a”へ視線を投げた。
ノ(゚ー゚リそ「・・・・前には進んでるよ、大丈夫」
俺の気持ちを察したのだろうか。
蕎麦を茹でていた“対象a”が、遮るようにそう言った。
目標を達成する事が“進歩”なら、目標に向かって努力したり迷ったりする事は“前進”だと。
前を向いている限り、ちょっとずつでも前には進めるのだ。
ノ(゚ー゚リそ「某の人はそう言いました」
('A`)「お前俺の留守中にPC弄ってない?」
俺のバイト先が決まったのはその翌日の事。
そしてそれを嗅ぎつけた“あの女”が来たのは、初出勤の日の夜だった。
(#)A`)
ξ゚听)ξ
(#)A`)「・・・・ドアを開ける時は静かにね」
ξ゚听)ξ「把握したわ」
ツンは人間を入れて煮込める様な大きさの鍋を抱えていた。
ξ゚听)ξ「仕事、決まったって?」
誰にも教えていない筈なんだが、何故知ってるんだ。
('A`)「ああ、バイトだけどな。本屋の店員」
ξ゚听)ξ「別にお祝いってワケじゃないけど、カレー作ってきたの」
その大鍋全部カレーか。
お前はいつでもカレーだな。
('A`)「・・・・いつも悪ぃな」
ξ゚听)ξ「あら、珍しいわね、アンタがそんな事言うなんて」
明日は槍でも降るかしら?とツンが笑う。
ξ*゚ー゚)ξ「・・・・バイト、頑張りなさいよ」
('A`)「おう・・・・ツン、あのさ」
ξ゚听)ξ「じゃあね! また来るから!」
照れ臭そうに駆け出すツン。
本当は「夕飯食ってけよ」と言いたかったけど、それも言葉に出来ない俺。
ノ(゚ー゚リそ「よっ、御両人」
('A`)「出たな便所の精」
そして便所から半分顔を出して茶化す“対象a”
最近こいつの隠れ場所は専ら便所だった。
仕事はお世辞にも順調とは言えなかった。
何しろ全部が全部初めての事なのだ。
たかがアルバイト、されどアルバイト。
別段キツい仕事でも無いけれど、ニート生活で鈍った体には堪える。
他人と話す事にも慣れていなかった。
それでも働いていれば、誰かと関わる事からは逃げられない。
どうせ逃げられないなら、俺は逃げない事にした。
一度腹さえ決まってしまえば、人間関係も思った程難しく無いのだと気付いた。
するとどうだ、少しずつだが職場が楽しくなってくる。
前に進んでいる、と思った。
もう少しだ。
仕事に慣れて、ちゃんと食っていける、そう思える様になったら。
仕送りはもう大丈夫、今までありがとう、とカーチャンに伝えよう。
俺は秘かに心に決めていた。
〜♪〜♪
ノ(゚ー゚;リそ「・・・・ドクオの奴、携帯忘れて行きよった」
〜♪〜♪
ノ(゚ー゚リそ「今日は長いなー」
〜♪〜♪
ノ(゚ー゚リそ「実家から・・・・?」
空が白み始めた頃にバイトから帰ってくると、
今頃寝ている筈の“対象a”が起きて待っていた。
ノ(゚ー゚リそ「お茶漬け?」
俺の顔を見るなり“対象a”の口から出た言葉はコレだった。
「お帰り」はどこへ行った?
('A`)「先寝てろって言ったろ・・・・」
ノ(゚ー゚リそ「早起きしただけだっつーの。・・・・で、お茶漬け?」
('A`)「メシは良いや、とりあえずコーヒー頼む」
かりかり。
明け方の静かな部屋に、ミルの音が響く。
ノ(゚ー゚リそ「ドクオ携帯忘れてっただろ」
('A`)「あ? あー、本当だ」
ノ(゚ー゚リそ「着信あったぞ、何回も」
何回も、という事は先方は俺に用があったのだろう。
悪いことをしてしまったと思いながら、俺は“対象a”から携帯を受け取った。
('A`)「・・・・ん?」
明け方の静かなアパートに響く慌ただしい足音。
かつ、かつ、という音は多分ピンヒール・・・・女性のものだろう。
足音が部屋の前で止まると、お約束の様に喧しくチャイムが鳴らされた。
('A`)「ツンか? 時間考えろっての」
携帯を置き、俺はのそのそとした足取りで玄関へ向かった。
('A`)「おい、今何時だと思ってんだよ」
('、`*川
('A`)
ドアの前に立っていたのは、ツンではなかった。
('A`)「・・・・姉ちゃん」
姉の顔を見たのは上京以来初めてだった。
一見無表情に見えるが、姉は怒っていた。
('、`*川「何故電話に出ないし」
('A`)「いや、俺バイトで」
('、`*川「・・・・上がるわよ」
俺の横を擦り抜けて、姉が部屋へ入ろうとする。
部屋の中には“対象a”が居た。
二人が顔を合わせるのはマズい、何を言われるかわかったもんじゃない。
(;'A`)「ストップストップ! 用があるならここで・・・・」
('、`#川「いいから! 手伝うからさっさと支度しなさい!」
(;'A`)「何なんだよ一体、さっきから話が全然見えな」
('、`#川「お母さんが倒れた!!」
('A`)
突然の事に、頭がついて行かなかった。
立ったまま固まっている俺を尻目に、姉が部屋へ入っていく。
ノ(゚、゚リそ
姉は俺の鞄を片手に、財布は、とか、他に要るものは、とか言いながら家捜しを始めた。
ちゃぶ台の傍らにちょこんと座った“対象a”が、その様子を眺めている。
姉は何も言わない。
姉には“対象a”の姿が見えていなかった。
ノ(゚ー゚リそ「・・・・いってらっしゃい」
ばつの悪そうな顔で俺を送り出す“対象a”
聞きたい事は山ほどあるが、帰ってくるまでとりあえず保留だった。
姉の運転で、俺は約一年ぶりに田舎へ帰ってきた。
('A`)「カーチャン・・・・」
病室のベッドに横たわる母は、ひどく顔色が悪かった。
J( 'ー`)し「どうしたんだいドクオ、それじゃアンタの方が病人みたいよ」
母は、パートとして働くスーパーで倒れたらしい。
女手一つで俺たち姉弟を育ててくれた母は、もとから体の丈夫な人ではなかった。
俺への仕送りの為に、無理をして働いていたのだと、車中で姉に聞かされた。
('、`*川「・・・・あたしコンビニで何か買ってくる。朝まだだったでしょ」
そう言って姉が席を外す。
病室に母と二人きりになった。
('A`)「・・・・カーチャン、ごめん」
J( 'ー`)し「あらあら、久しぶりに顔を見せたと思ったら・・・・なんでアンタが謝るの」
('A`)「だって、俺のせいでカーチャン無理して、こんな」
J( 'ー`)し
('A`)「・・・・俺、本当は予備校なんか行ってないんだ。
大学なんか行く気も無くて、アパートに引き籠もってて」
J( 'ー`)し「知ってるよ」
('A`)そ
J( 'ー`)し「でもドクオにはやりたい事があるんだろう?
息子が独り立ちするまでの間くらい、カーチャン面倒みてやりたかったんだよ」
何年ぶりかで泣いた。
情けなさと、申し訳なさと、有り難さとがぐちゃぐちゃになって、涙が止まらなかった。
俺が泣き止むまで、カーチャンはずっと頭を撫でていてくれた。
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