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長いの
#1‐2


ξ゚听)ξ「…先程は失礼しました」

突然謝られてマウスは首を傾げた。

ξ゚听)ξ「マウス様がこんなにお若い方だと思ってなかったものですから」

『有名な音楽家』だと聞いていた彼女は、てっきりマウスがもっと年配だと思っていたのだそうだ。
なるほど、それで港で声を掛ける際にまごついていたらしい。

ノ(゚、゚*リそ(『有名な音楽家』かぁ)

謝られたが、マウスは別に悪い気はしなかった。
むしろちょっと照れ臭い位だ。

宿に向かう道すがら、ツンは港から程近いバザーを案内してくれた。

このヴィップは外から見てもわかるとおり、さほど大きな島ではない。
それでも400程の人口があり、中でもこのバザー界隈が一番賑やかな場所だという。
忙しそうに人が往来し、確かに活気はあるようだった。

川を一本挟んで市街地に入る。
港からここまで来るのに、変わった面を着けた人を何人も見かけた。
デザインは何種類かあるようだが、何かこの祝祭に関係があるのだろうか。

ノ(゚ー゚リそ(この祭りって婚礼の祭りなんだよな)

そういえば、王家の婚礼とは聞いたものの、誰が結婚するのか知らない。
ちょっと気になったのでツンに尋ねてみた。


ノ( ― ;リそ「…っぶ!」

そして突然立ち止まったツンの軽鎧の肩にマウスは鼻をぶつけた。

ξ;゚听)ξ「それをご存じなくてこの島へいらしたんですか?」

鼻をさするマウスには構わず、ツンは話を続ける。

ξ゚听)ξ「ご結婚されるのは姫様と…ショボン様です」

ノ(゚、゚リそ(あれ?)

振り返った彼女の表情に、一瞬翳りが見えた気がした。
だが他に質問は、と改めて聞き返してきた彼女の様子は、もう元通りだった。

ノ(゚ー゚リそ「えと、それじゃあ」

( ^ω^)「何を食べてたらそんな残念なおっぱいに」

ノ(゚ー゚リそ「!?」

言い終える前にマウスの裏拳がブーンの胴を強打する。
だが時既に遅し、その言葉の意味は彼女に伝わってしまった。

ξ#゚听)ξ

ノ( ― ;リそ(オワタ)

ツンはくるりと踵を返し、肩を怒らせてずんずん歩き始めた。
楽器は普通喋らない。
当然ブーンの暴言はマウスの言葉として受け取られた筈だ。

ノ(゚―゚#リそ(ぶぅううううんんっ!!?)

( ^ω^)(怒るなお相棒。これはお前の為でもある)

ノ(゚―゚#リそ(どこが!)

大股で遥か前を行くツンの背中を、マウスは小走りに追い掛けた。

( ^ω^)(可愛い子にのぼせないように先手を打ってやっただけだお。
        僕らの本来の目的を忘れちゃダメだおー)

ブーンの口調は楽しそうだった。

役場らしい建物の前を通り、立体交差を潜っていくと、その先に二階建の建物が見えてくる。
ツンはその建物の前で立ち止まった。
どうやらここが宿らしい。
中に入るとマウスは二階に案内された。
二人が階段を昇っている途中、

ミセ*゚ー゚)リ ヒョコッ

ミセ*゚ー゚)リ「あの人が音楽家さん…」

物陰からこっそり覗く女の子の姿があった。





通された部屋は、一人で泊まるには随分広い部屋だった。

ξ゚听)ξ「ショボン様は夕刻5時よりお目にかかります」

ツンがこの後の予定をつらつらと説明し始める。
時間にはまた迎えに来るので、それまでは自由に島内を見物して構わないらしい。

…が、

ξ゚听)ξ「町の外には野性のモンスターが出没します。
      私が居ない時には近付かない方がよろしいですよ」

最後に一言釘を刺して、ツンは部屋を出ていった。


( ^ω^)「あたしの方がアンタより強いのよ、って口振りだおね。気の強そうな娘だお」

足音が遠ざかるのを聞いて、ブーンが喋り始める。
マウスはベッド脇まで椅子を引いてきてブーンを立て掛けた。

( ^ω^)「どうやらあの子、戦いの心得があるらしいお」

ノ(゚、゚リそ「差し詰め彼女は護衛と監視、か」

ブーンと向かい合うようにして、マウスもベッドに腰掛けた。




( ^ω^)「じゃ、一応確認しとくお。僕らは音楽だけで生活してるワケじゃないお。
       …では僕らの本業は?マウス君」

ノ(゚ー゚リそ「はい、ドロボーです」

( ^ω^)「よく言えましたー」

二人は表向き音楽家としてまっとうな報酬を頂く傍ら、裏でせっせと盗みを働くコンビだった。

( ^ω^)「ショボンって男から何を頼まれるか知らんけど、いつも通りどさくさに金とか宝物とか頂いちまうおw」

勿論仕事の報酬もそれはそれでちゃんと貰う。
つまり表の顔と裏の顔で利益の二重取りうめぇwwwである。

ノ(゚ー゚リそ「まぁ、こっちの仕事はやり易そうだよ」

と言ってマウスは懐から見慣れない財布を取り出した。
バザーで人混みに入った時に掠め取ったようだ。
何せ祭りでこの騒ぎである。
少々物が無くなったところで、あまり気に留められない。

( ^ω^)「相変わらず手癖が悪いおね」

口先では咎めながらも、ブーンは嬉しそうだった。

( ^ω^)「本番は夜だお。昼間のうちによく下見をしておくんだお」

ノ(>ー<*リそ「滞在中は寝かせないZE☆」

( ^ω^)「けだものー」

ノ(゚―゚リそ「!…誰か来る」

誰かが部屋に近付いてくる気配を察して、二人は息を呑んだ。
次の瞬間勢い良くドアが開かれる。

( ゚д゚)ノ「やぁ、お客さん。お邪魔するよっ!」

( ^ω^)「ちょwwwおまwwwwさっきの船員じゃねーかwwwwww」

( ゚д゚)「え?船員?」

ノ(゚ー゚;リそ「なな何でもないですー!」

宿の主人だった。

( ゚д゚)「いやぁ、王家のお客人がウチに泊まってくれるとは、まったく鼻が高いよ。
    要望があったら何でも言ってって下さいね!」

ノ(゚ー゚リそ「は、はぁ…」

( ^ω^)(こいつもうぜぇ)

何でも『万全のサービスはわが宿のモットー』らしい。
それなら今すぐ目の前から消えてほしい、とブーンは思った。サービスの一環として。

( ゚д゚)「それにしてもホントに嬉しいねぇ。まさかこんな大切なお客さんに泊まっていただけるなんて!」

ノ(゚ー゚リそ「そうですか…」

( ゚д゚)「私がこの宿屋を始めて10年…あれ?30年だったか、な?おかしいな、何年経つんだろ?」

( ^ω^)(心底どうでもいいお)

( ゚д゚)「…まぁ何年でもいいんですがね、こんな名誉な事は初めてですよ!」

ノ(゚ー゚リそ「はぁ」

( ゚д゚)「いやぁショボン様もお目が高い!実はこう見えても私はね…」

ノ(゚ー゚リそ

( ゚д゚)「男手一つで娘を…」

ノ(゚ー゚リそ

( ゚д゚)「私の若い頃は…」

ノ(゚―゚リそ

( ゚д゚)「近ごろこの島じゃ…」

ノ(゚、゚リそ

( ゚д゚)「今日の天気は…」

( ^ω^)(いつまで続くんだお、このおやじの話は)

( ゚д゚)「立派な娘になって…」

ノ(ー、ーリそ

( ゚д゚)「姫様がご婚礼だってのに…」

ノ(ー ー;リそ

( ゚д゚)「魚はうまいし…」

ノ(ー ーリそ

( ゚д゚)「珍しいお祭りで…」

ノ(ー ーリそ zzz

( ゚д゚)「…ってことで、どうです?部屋に籠もってないでその辺を散歩してきては」

( ^ω^)(てめぇが部屋に籠もらせてんだろwww)

ノ(ー ーリそ「…もう、たべれません…」

( ゚д゚)ノシ「この街は迷子になりやすいんで気を付けて下さいね。じゃ、失礼します!」

一人で喋りまくった後、ようやく宿屋のおやじは出ていった。

( ^ω^)「厄日か今日は」

ノ(゚―゚リそ「…途中から記憶が無い」

マウスは懐から時計を出して時間を確認した。
宿に案内されてから、2時間以上経っている。

( ^ω^)「ねーよ」

ノ(゚、゚リそ「とりま5時まで外で時間潰そう」

二人はおやじに言われたとおり、その辺を散歩してくる事にした。

時刻は昼を回っている。
宿の時計は何故か10時を指していた。







#1 おわり



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