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長いの
#8‐1


ノ(- -リそ「・・・・うーん・・・・」

寝返りを打った拍子に眠りから覚めた。

部屋の中が暗い。
一体どれくらい眠っていたのだろうか。
目を擦りながら、マウスはゆっくりと体を起こした。




o川*゚ー゚)o


ノ(゚、゚リそ

ノ(゚、゚;リそ


そして隣でニヤニヤしながら、添い寝している女と目が合った。






#8 このショボン様さ!



夕方から降り始めた雨は、夜になっても止むことはなかった。

中央広場では少女達が婚礼の儀式の舞を披露している。
集まった見物客は体が濡れる事も厭わず、頻りに小さな踊り子達へ声援を送っていた。

その時突如として中央広場に、というより街中に、
絹を裂くような若い男の悲鳴が響き渡った。


ミセ;゚ー゚)リ(・・・・マウスさん?)







女の姿が視界から消えたと思うと、直後にどすんと重い音を立てて部屋が揺れる。

o川*゚ー゚)o「うぉ・・・・耳がやべぇ」

ベッドから転げ落ちた痴女が、床の上でもんどり打っていた。
ピンクのボンボン頭はよくよく見れば、親衛隊のキューのようだ。

ノ(- -;リそ(・・・・頭痛してきた)

マウスは思わず額を手で押さえて、深々とため息を吐いた。
この手の娘は悪気が無いから手に負えない。

( ^ω^)(なんだなんだ)

o川*゚ー゚)o「こんばんわぁ、マウス様☆」

( ^ω^)(げ、ウザ女)

ノ(- -;リそ「・・・・何してるんですか」

o川*゚ー゚)o「寝顔ヲチ・・・・じゃなくて、迎えに来たんですよぉ。
      もうすぐ婚礼衣裳披露会の時間っすから!」

ノ(゚―゚;リそ「部屋に入るならせめて声をかけて下さい!
      僕が全裸だったらどうするんですか!?」

o川*゚ー゚)o+「それはそれでご馳走様です」

ノ(゚ー゚#リそ「・・・・ところで夕方から僕の歯ブラシが見当たらないんですが、ご存じありませんか」

o川*゚ー゚)o「ご存じないですぅ」

ノ(゚ー゚リそ「ふーん?」

o川;゚ー゚)o「ちょ、何ですかその疑いの目は!?
      ぱんつなら盗ったけど歯ブラシは本当に知らないですよぉ」

ノ(゚ー゚リそ

o川*゚ー゚)o「あ」

その日、マウスは生まれて初めて本気で女の子を殴った。








キューが城を出るときに持ってきた傘は一本。
不本意ながら、マウスは彼女と一緒の傘で城まで行くことになった。

o川*゚ー゚)o「相合傘うめぇ」

しかもこの女、確信犯である。

ノ(゚ー゚リそ「・・・・離れてくれます?」

o川*゚ー゚)o「えー、これ以上離れたら濡れるしぃ・・・・さては下着透け狙い!?
      しかしこんな事もあろうかと、今日は勝負ブラ装備です!」

ノ(゚ー゚リそ「心底どうでもいいです」

o川*゚ー゚)σ゙「またまた〜、そんな事言って本当は見たいク・セ・にッ☆」

ノ(゚ー゚リそ「キューさんは痛いのがお好きなんですね、わかりました」

o川*゚ー゚)o「ちょwww暴力反対wwwwww」


・・・・と、こんな具合に傘の中で押し合いながら歩いていれば、嫌でも目立つと言うもの。
見物客が集まる広場に出るや否や、二人は周囲の視線を独占する事になった。

o川*゚ー゚)o「キャッ、注目されてますよアタシ達! 照れちゃうっ☆」

ノ(゚ー゚リそ「誰のせいだ誰の」


皆さんの好奇の目をスルーしつつ、広場の人混みを通り抜けようとした時だった。
不意にモニュメントの前で踊っているミセリの姿を見つけて、マウスは足を止める。


ミセ*゚ー゚)リ そ

ミセ*゚ヮ゚)リノシ


ミセリもこちらに気付いたらしく、目が合うと嬉しそうに手を振ってきた。
鳥の羽をあしらった髪飾りがピョコピョコ揺れる。
踊り子達はお揃いの衣裳を着ているが、よく見ると羽根飾りを身に付けているのはミセリだけだ。

ノ(゚ー゚リそ(リーダーなのかな、ミセリちゃん)

おそらく皆、大分前から練習していたのだろう。
動きも良く揃っているし、何より可愛い(最重要
その中でも一際踊りの巧いミセリは、見物客から多くの視線を集めている。

雨に打たれながら懸命に踊る少女達に、マウスは心の中でエールを送りつつ、

o川*゚ー゚)o「マウス様、幼女はいけません幼女は」

隣のウザ女にはとりあえず肘をくれておいた。








マウスが城の敷地内に入ると、直後に門が閉められた。

城正面の庭園には、既に他の招待客が集まっている。
どうやらマウス待ちだったようだ。
またしても皆さんの視線が痛い。


o川*゚ー゚)o「あのぉ、姫さまとショボンさまの前で傘さしはNGなんでぇー・・・・」

そう一言断って、キューが傘を畳んだ。
そういえば周りの誰一人傘を差していない。

( ^ω^)(チッ、濡れ鼠になっちまったお)

( ^ω^)(・・・・)

( ^ω^)(マウスだけに・・・・プッ)

ノ(゚ー゚リそ

( ^ω^)(正直すまんかった)


肌を伝う雨の生ぬるい感触。
この程度で風邪は引かないだろうが、帰って風呂に入り直す手間を思うと、少し億劫だった。

o川*゚ー゚)o「ホラホラ透けてますよぉ〜、マウス様チャンスチャンス☆」

ノ(゚ー゚リそ「はいはい可愛い可愛い」

o川*゚ -゚)o「むーっ」

キューを適当にあしらい、マウスは改めて辺りを見回した。
王女が出席するにも関わらず、警備はそれ程厳重ではない。
こちらとしてはやりやすいが、いくら平和な島とはいえ、
こんな笊警備で大丈夫なのだろうか、と却って心配になってくる。


ノ(゚、゚リそ(・・・・お?)

ふと、今まで騒ついていた招待客が静かになった。
その視線は城の正面玄関に注がれている。


( ^ω^)(どうやら色男のお出ましだお)







(´・ω・`)ノシ


ショボン卿が招待客の前に姿を現した。
フィレンクト将軍と、もう一人の兵士が卿のすぐ傍に控えている。


   ↓

 ( ゚д゚) (‘_L’)




ノ( ― ;リそ(僕は何も見ていない、見ていない・・・・)




(´・ω・`)ノ「皆さん、今宵はよくおいで下さいました」

招待客を見渡すと、ひと呼吸置いて卿は挨拶の口上を述べ始める。

(´・ω・`)「この場へお招きしたのは島の名士の方ばかりです。
      いつも王家を支えて頂いている皆様には、一足早く王女の婚礼衣裳を披露したいという
      私の感謝の気持ちの現れが、この宴です」

芝居掛かった言い回しだった。
この男は何をするにも一々気障なのだが、二枚目の特権か様になっている。

絵に描いた様に整った容姿と、優れた人格を兼ね備えた領主。

招待客が一様に尊敬と憧憬の眼差しを向ける中、
マウス達だけが、その様子を冷めた目で眺めていた。

彼が“島民想いの統治者”を演じて悦に入っているに過ぎない事を、
果たしてどれだけの人が知っているだろうか。

ノ(- -リそ(白けるなぁ、もう)

そんな事を考えている間に、卿の長ったらしい挨拶口上は終わったようだ。
流石に待ちくたびれた様子の招待客へ、仕切り直しとばかりに卿は咳払いをし、


(´・ω・`)「・・・・では、我が未来の妻、クーの晴れ姿をお目にかけましょう!」

後ろへ控える兵へ手で合図を送る。

卿の一挙一動を見守っていた招待客らが、わあっと歓声を上げた。




川 ゚ -゚)


王家の伝統的な花嫁装束に身を包んだクー王女が、庭園に姿を現した。

先程の歓声から一転、招待客は皆一様に言葉を失う。

純白の絹を纏う王女の凛とした立ち姿は、まるで白百合。
衣裳の肩にかかる、深緑の滝との対比があまりに美しく、目を奪われた。

一歩、王女が前に進み出ると、弾かれた様に再び歓声と拍手が巻き起こる。

賞賛の嵐に誇らしげな表情の卿とは対称的に、王女は顔色一つ変わらない。

( ^ω^)(こういう時位は手を降るとか、愛想笑いでもすりゃ良いのに)

他の招待客は王女の様子を何とも思わないのだろうか。

やはりこの島は何かがおかしいのだと、改めて感じた。



( ^ω^)(さて、後はうまいことお姫さまに接触できるかだおね)

ノ(゚、゚*リそ

( ^ω^)(将軍も傍に控えてるし、どうするお?マウス)

ノ(゚、゚*リそ

( ^ω^)(ん?)

ノ(゚、゚*リそ

( ^ω^)(マウスたーん?おーい、もしもーし)

ノ(゚、゚*リそ

( ^ω^)(・・・・ダメだこりゃ)

このアホの相棒は、一体何をしにここへ来たのか。
ブーンのため息は雨の音に混じって消える。




マウスを含め、招待客全員が王女の花嫁姿に釘づけになっている最中、
卿が王女の手を取り、招待客の前へ降りようとしたまさにその時。
会場を包む和やかな空気は、文字通り“音を立てて”崩れた。


ノ(゚、゚リそ「・・・・ッ!?」

( ^ω^)(なんだなんだ)

突然、背後から響いた爆音に、その場が騒然となる。

驚き振り返った招待客が目にしたのは破壊された城門と、
近くにいて巻き込まれたのだろう、倒れた兵士の姿。

そして、

「と、盗賊団だ・・・・!」

招待客の一人が叫んだ。


('A`)「退け退けッ、王家のクズ兵士ども!
    盗賊王ドクオ様のお出ましだぜ!!」

ノパ听)「ヒート様もいるぞッ!」

痩身の男と赤毛の女が、覆面を被った配下の盗賊達を従えて庭園内に踏み込んできた。

盗賊団の頭らしい痩身の男・・・・ドクオの合図で手下が散開する。
少し遅れて「応戦しろ」と兵の誰かが声を上げた。

駆け付けた兵士と盗賊団の衝突。

逃げ惑う招待客で、園内はパニック状態だった。



(;‘_L’)「このような場でなんと大それた事を・・・・
      ええぃ皆の者!姫さまとショボンさまをお守りするのだ!!」

不測の事態に将軍が周りの兵へ大声で指示を飛ばした。
それを手で制して、ショボン卿は静かに言い放つ。


(´・ω・`)「・・・・お前はクーを守っていれば良い」










o川*゚ー゚)o「うおっしゃぁああああああッ!」

キューの踵が盗賊の顔面に思いっきりめり込んだ。
小柄な体に似合わないダイナミックな蹴りに、盗賊は堪らずその場へ崩れ落ちる。
すかさずその腕を捻り上げると、彼女はあっという間に一人目を取り押さえた。

o川*゚ー゚)o「とったどー!」

ノハ#゚听)「・・・・ッ、テメェッ!」

o川;゚ー゚)o「ぅおうっ」

と、そこへ冴えた赤色の髪を振り乱し、女盗賊が突っ込んでくる。
思わず飛び退いた拍子に、キューは捕まえていた盗賊を手放してしまった。

o川*゚ー゚)o「ぶち殺すぞ貴様」

ノハ#゚听)「それはこっちの台詞だぞぅ!」

キューが赤毛の女、ヒートに向かって右手の中指を立てた。
顔こそ笑っていたが、彼女はただならぬ殺気を放っている。
ここに仁義無き女の闘いが始まろうとしていた・・・・






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