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長いの
#5‐2
ξ゚听)ξ「・・・・本来、王室親衛隊には『巫女』と呼ばれる、
      神事を行う女性達を訓練して就かせるのが習わしです。
      でも私はちょっと違うんです」

ノ(゚、゚リそ「違う?」

ξ゚听)ξ「私はもともと『巫女』ではありませんでした。
      ・・・・なまじの男性より腕っぷしが強いのを買われて隊長に抜擢されたんです」

ノ(゚ー゚リそ(あー、たしかに)

マウスは東部海岸での、ツンのモンスターとの戦いぶりを思い出した。
女性であれだけの強さというのは、なかなか居ないかもしれない。

ξ゚听)ξ「私は自分の仕事に誇りを持っています。
      ・・・・でも・・・・女性としては、あんまり自慢にならないですよね・・・・」

ノ(゚ー゚リそ「え、えーと・・・・」

( ^ω^)(そこはフォローするトコだろ常考)

ノ(゚ー゚リそ「あ、そうだ。王室親衛隊って事はツンさん、クー王女とはよく会われますよね」

( ^ω^)(あっ、馬鹿)

咄嗟にマウスの口を突いて出た、クー王女の名前。
こののほほん男は、また地雷を踏もうとしている。

ノ(゚ー゚リそ「僕は初日にお姿を拝見しただけなので。
      ・・・・どんな方ですか?クー王女って」

ξ゚听)ξ「クー様はこのヴィップ王家の唯一の後継者なんです。
      先代様が早くに亡くなられてからは、お一人でこのヴィップを支えて来られました」

ノ(゚、゚リそ「へぇー、僕と大して変わらないみたいなのに」

ξ゚听)ξ「・・・・私達とは住む世界が違いますわ。
      ですがとても聡明で、お優しい方です」

ノ(゚、゚リそ「優しい・・・・」

ξ--)ξ「・・・・そして・・・・とてもお美しい・・・・方・・・・
      それはマウス様もご存じですよね」

ノ(゚ー゚*リそ「そうですね、でも昨日お会いしたときは、
      何か冷たい感じがしたというか」

ξ゚听)ξ

ノ(゚、゚*リそ「昨日はご機嫌が良くなかったんでしょうか。
      ・・・・その、かなり不躾でしたよね僕」

ξ )ξ

ノ(^ー^*リそ「ツンさんは王女とはよく話したりするんですか?
      僕の事何か言ってたりとか、無いかなーなんて」

ξ# )ξ


半分以上中身の入ったワイングラスを、ツンが一息に呷る。
そして乱暴に椅子を引いて立ち上がると、何も言わずに外へ出てしまった。


ノ(゚ー゚リそ「・・・・え?」

テーブルに一人残されたマウス。
状況が飲み込めず、ぽかんとしている。

( ^ω^)「お前馬鹿だろ」

見兼ねたブーンが、椅子の脇から声を掛けた。

( ^ω^)「お前がお姫様の事をニコニコして聞くから、彼女のご機嫌を損ねたんだお。
       自分で気付いてなかったのかお、ばーか」




デートの時に他の女性の事を聞くのはとっても失礼!
よい子の皆は気を付けようね!
これはお姉さんとの約束だゾッ☆




ノ( ― ;リそ「・・・・返す言葉もございません」

( ^ω^)「いい加減空気の読める子になれお」

気まずいがツンを放っておくわけにもいかない。
マウスは彼女を追って外に出た。






ξ゚听)ξ「・・・・はぁ」

バルコニーでツンは独りため息を吐いた。

ξ゚听)ξ「ショボン様に・・・・・・・・って言われてるのに・・・・私、何をやってるの」



ノ(゚、゚;リそ「あの、ツンさん」

ξ;゚听)ξ

いつの間にかマウスが後ろに立っていた。
今の独り言を聞かれたのでは、と一瞬狼狽えたが、
マウスの表情が芯からツンを気遣っている様子だったので、
ツンはホッと胸を撫で下ろした。


ξ゚听)ξ「ごめんなさい・・・・少し気分が悪くて」

ノ(゚、゚;リそ「大丈夫、ですか?・・・・その、僕が言ったことで気分を害したんだったら」

ツンは静かに首を振る。

ξ゚听)ξ「マウス様のせいではありません。私が悪いんです、私が・・・・」

言いながら、ツンはマウスに背を向けた。

ξ )ξ「私みたいな女がクー様に対して、羨ましく思ったりすること自体恐れ多いんです。
      あの人に・・・・勝てるわけなんかないのに・・・・」

ノ(゚、゚リそ「・・・・」

ツンの声は震えていた。
彼女に掛ける言葉が見つからず、マウスはただ立ち尽くす。

随分長いことそうしていた気がする。
実際にはもっと短い時間だったのかもしれないが、ともかくようやくツンがマウスの方に向き直った。

ξ゚听)ξ「今宵はずっとお付き合いをする予定でしたけど、
      私がこれではきっとご迷惑を掛けてしまいますね」

ノ(゚、゚リそ「・・・・ツンさん」

ξ--)ξ「ここで・・・・お別れさせて下さい」

それだけ言うと、ツンは一人店内に戻っていった。
しばらくして一階の玄関から出ていくツンの姿が見える。
マウスはツンの姿が見えなくなるまで、バルコニーから見送っていた。


( ^ω^)(『今宵はずっと』ねぇ)

ツンの様子がおかしかった理由が、ブーンにはなんとなくわかってきた。

ノ(゚、゚リそ「あ、結局キバアンコウ食ってないや」

こういった事情に疎いマウスにはわからないだろうが、教える必要も無いとブーンは思っていた。

( ^ω^)(・・・・こいつが聞いたら怒るに決まってるお)

ノ(゚ー゚リそ「何か言ったか?」

( ^ω^)「いや、そろそろ良い時間だと思うお」

そろそろ船乗り達は酔い潰れている頃だろう。
マウス達はレストランを後に、港へ向かった。

ノ(゚、゚リそ(明日・・・・宿にもどこにも僕が居なくなってる事を知ったら、ツンさんは)

がっかりするだろうか。
それともやっぱり凄く怒るんだろうか。

そんな事を考えながら。


市街地を抜けて市場に入る。
人と会わないに越した事は無いので、人通りの無さそうな道を通っていたが、
それもあまり意味が無かったかもしれない。
昼間の賑わいが嘘のように、夜の市街は静まり返っていた。

( ^ω^)「曰く、田舎の朝は早く夜も早い」

ノ(゚、゚リそ「こらこら、本当の事を言っちゃいけません」

( ^ω^)「お前も大概失礼だお」

それで気が緩んでしまったのだろう。
路地から出てくる人影にマウス達は気付かなかった。

ノ( ― ;リそ「ぷぎゃっ!?」

そしてその人影とぶつかったマウスは、派手に転んでしまった。

('、`*川「おおっと失礼」

マウスがぶつかったのは三十代位の女性だった。
こんな時間に、と二人は一瞬訝るが、

ノ(゚ー゚リそ(酒くせぇ)

( ^ω^)(酒くせぇ)

その女性が異様に酒臭かったので、すぐに酔っ払いだと理解した。
しかしこれだけ酒の匂いをさせていながら、彼女はまるで素面のようにけろりとした顔で立っている。

('、`*川「大丈夫?ぼうや」

ノ(゚ー゚リそ「あ、はい・・・・あとコレ落ちましたよ」

女性が差し出した手の上に懐中時計を乗せ、マウスは一人で立ち上がった。

('、`*川「あら、ありがとう」

近くで見ると、女性はかなり整った顔立ちをしている。
紫の長い髪に、吸い込まれるような翡翠の瞳が印象的だ。
この酒臭い息が全て台無しにしているが。

ノ(゚ー゚リそ「それじゃあ、急ぎますんで」

('、`*川「あ、ちょい待ち」

ノ(゚ー゚リそ「はい?」

マウスが振り返ると、何故か呼び止めた本人が首を傾げている。

('、`*川「・・・・やっぱなんでもない。呼び止めて悪かったわ」

へらっと笑って、女性は夜の闇に消えていった。


( ^ω^)「・・・・変な女だお」

ノ(゚、゚リそ「あの人だよ、噂の時計屋」

( ^ω^)「なんでわかるお?」

ノ(゚、゚リそ「あの人の時計合ってたから」

( ^ω^)「なるほど・・・・鉄の肝臓って噂も本当だったか」

ノ(- -;リそ「粕漬けがぶつかってきたかと思った」




気を取り直して、二人は港へやってきた。
さすがにここまで来ると、おしゃべりのブーンも無言になる。

港は静まり返っていた。
船着場には見張りの姿が見えたが・・・・どうやらお休み中のようだ。

マウスは見張りを起こさないようにそっと船に近づき、一番小さい漁船に乗り込んだ。





ノ(゚ー゚リそ「・・・・前にもあったなぁ、こういう事」

船が港からある程度離れたところで、マウスが言った。

( ^ω^)「あー、あの馬鹿がドジ踏んで、三人して逃げた時かお?」

ノ(- -リそ「二人が喧嘩して煩かったよな」

( ^ω^)「騒がしい逃亡犯だおw」

ノ(゚、゚リそ「・・・・」

マウスが島の方を省みる。
色々あった所為か、やはり後ろ髪引かれているようだった。

( ^ω^)「そう名残惜しそうな顔するなお」

ノ(゚、゚リそ「・・・・してないっつーの」

マウスがぷいと顔を背けた。

( ^ω^)「触らぬ神になんとやら、これで良かったんだお」

ノ( 、 リそ「・・・・」

ブーンにも気になる事はあったが、マウスを関わらせたくは無かった。
そもそもこの相棒のやる事は危なっかしい。
一々付き合わされては、心臓が幾つ有っても足りないというものだ。
(もっとも楽器に心臓があるとは思えないが)
島を出るようマウスを説き伏せたのは、正しい判断だとブーンは思っていた。

( ^ω^)(これでマウスが危ない目に合うことも無いし、一安心だお)

本心は親心である。

ノ(゚、゚リそ「?・・・・もう寝るよ」




翌朝。

海上で一夜を明かした二人は、信じられない光景を目の当りにした。



( ^ω^)「なん、だと・・・・?」

港が見える。
沖に出た筈が、船は再びヴィップ島へ戻ってきてしまったのだ。




川 ゚ -゚)(可哀相に・・・・また新しい人が来たんだな)


あの夜の王女の言葉が脳裏を過る。



ノ(゚、゚リそ「・・・・『檻の島』・・・・」

マウスの表情も、いつになく険しかった。


( ^ω^)「・・・・おほん、ところでマウス君」

ノ(゚、゚リそ「何」

( ^ω^)「アレ、やばくね?」

船着場に人集りが出来ていた。
見ればこちらに向かって何か怒鳴っているようだ。



ミ,#゚Д゚彡



その中には昨日の船乗りの姿もあった。


ノ(゚ー゚;リそ「うわ、やっべ」

今戻ったら確実にフルボッコである。

さて、どうやって言い逃れるか。
しばらく思案した後、マウスは船着場に向かって大声で叫んだ。






ノ(゚―゚;リそ「・・・・助けて下さい!!」








#5 おわり

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