長いの
#5‐1
マウスとブーンが港へやって来たのは、陽が傾き始めた頃だった。
ノ(゚ー゚リそ「へー、イワバタガニって言うんですかコレ。
塩ゆでしたの一杯貰おうかなー」
( ^ω^)(・・・・)
ノ(^ー^*リそ「あ、浜焼きも美味しそうー」
( ^ω^)(お前さっきから食い過ぎだ)
#5 南海の中心で愛を叫ぶ
ノ(^ー^*リそ「しぃらかばーぁあおぞーら、みぃなーぁみぃかぁーぜぇー」
( ^ω^)(お前幾つだYO☆)
マウスはどうも食い気に走っているが、本来の目的は港の下見である。
二人は今夜港から船を盗み、島から逃げる予定だ。
当然この辺りの海には詳しくないので、船乗り達から情報を集めておきたいと思っていたのだが。
( ^ω^)(見事に皆出払ってるお)
ノ(゚、゚リそ(昼間は船の上かぁ)
半ば途方に暮れながら、大量に吊された干物の間を歩いていると、
ふと見覚えのある男が視界に入った。
ミ,,゚Д゚彡
マウスがこの島に来て、初めて話した男だった。
男はこちらに気付くと、呼びもしないのにまたフレンドリーに近寄ってきた。
その後ろを猫がぞろぞろ付いてくる。
初対面の時も思ったのだが、この男は野良猫に餌付けでもしているのだろうか。
ミ,,゚Д゚彡「よう、昨日の旅人さんじゃねぇかゴルァ」
ノ(゚ー゚リそ「どうも・・・・アレ?てっきり船乗りさんだと思ってたんですけど」
ミ,,゚Д゚彡「まぁ船乗りには違いねぇけどな。兄さん港に何の用だい」
ノ(゚ー゚リそ「船を見に。でも皆出ちゃってますね」
ミ,,゚Д゚彡「夕方になりゃ戻って来るさ。船に興味があるのかい?」
ノ(^ー^リそ「まぁ・・・・これでも男の子ですから」
ミ,,^Д^彡「そうかそうか」
マウスの言葉に船乗りの男は気を良くしたようだ。
彼から色々と聞き出せるかもしれない、そう思った時だった。
ミ,;゚Д゚彡
ノ(゚ー゚;リそ
( ^ω^)
マウスは背後から異様な殺気を感じた。
船乗りの表情が恐怖に凍り付く。
ノ( ― ;リそ(これは・・・・デジャヴ!?)
恐る恐る振り返ると、そこに居たのはやはりツンだった。
ξ#゚听)ξ
前言撤回、ツンの皮を被った鬼が立っている。
( ^ω^)(うわぁ・・・・)
ノ(゚ー゚;リそ(うわぁ・・・・)
ξ#゚听)ξ「本っ・・・・当にもう勘弁して下さい!いくら大切なお客さまでも怒りますよ!」
ノ(゚ー゚;リそ「もう怒ってますけど」
城でツンの案内をすっぽかした事で、相当彼女を怒らせてしまったらしい。
あれはそもそも将軍の抜け駆けなのだから、不可抗力の筈だが。
ξ#゚听)ξ「私をからかって楽しんでらっしゃるんじゃないでしょうね!」
ノ(゚―゚;リそ「滅相も無い。そんな命知らずに見えますか?」
( ^ω^)(あっ、馬鹿)
ξ#゚听)ξ「・・・・」
気を落ち着けるように、ツンは大きく息を吐いた。
ξ゚听)ξ「・・・・マウス様、今度こそ私の言うことを聞いて下さいね」
ノ(゚ー゚;リそ「な、なんなりと」
ξ゚听)ξ「今夜はご夕食を接待するようにショボン様から言い付かっております」
そう言ってツンは、マウスの鼻先に一枚の紙を突き出した。
ξ゚听)ξ「夜七時五十分に、そのお店で予約を取ってあります。
お待ちしておりますので必ず来てくださいね。“か・な・ら・ず”ですよ!」
突き付けられた紙を受け取ってみると、手描きの地図のようだった。
ただしかなりアバウトな。
土地勘の無いマウスには、ちょっと場所がわかりにくかった。
ノ(゚ー゚リそ「あの、ツンさん、このお店にはどうやって」
ノ(゚ー゚リそ「居ない」
ぷりぷりと肩を怒らせて歩くツンの後ろ姿が、遥か彼方に見えた。
ノ( ― リそ「僕が何をした・・・・」
ミ,,゚Д゚彡「災難だな兄さん。まぁ頑張ってくれ」
ノ(゚―゚リそ「あ、待って」
立ち去ろうとした男の腕を掴んで引き止めた。
ノ(゚ー゚;リそ「コレ・・・・どこだかわかります?」
ツンから渡された地図を見せると、男はまず目を点にする。
続いて首を傾げ、地図に顔を近付けてしばらく唸っていたが、不意に顔を上げると、
ミ,,゚Д゚彡「これはひどい」
と一言呟いた。
ノ(゚ー゚リそ「ですよねー」
ミ,,゚Д゚彡「兄さんじゃーちょっとわからねぇだろうな。
案内してやるから、時間になったらまた来るといい」
( ^ω^)「お前何考えてるお」
男と別れた後、ブーンが呆れた口調で言った。
( ^ω^)「今夜はもう島を出るんだお?女の子と楽しくお食事してる場合じゃねーお」
ノ(゚ー゚リそ「まぁまぁ、どうせ夜中なんだし、時間潰しにはいいだろ」
( ^ω^)「おま」
ノ(゚ー゚リそ「ツンさん、迎えに来るって言わなかったな」
( ^ω^)
この二日間彼女は律儀に、半ば強引にマウスの案内をしようとしてきた。
それがさっきの様子はどうだろう。
「必ず」と念押ししていったとは言え、マウスが必ず約束を守るとは限らないのだ。
むしろこれまでの経緯を考えれば、すっぽかす可能性の方が高いと判断するだろう。
にも関わらず、彼女はマウスに約束を取り付けただけで帰っていった。
ノ(゚ー゚リそ「・・・・どういう心境の変化かと思ってさ」
( ^ω^)「確かに、ちょっと様子は変だったおね。
でも約束したお?これ以上深入りしないって」
ノ(゚ー゚リそ「彼女に付き合ってあげられるのも、これが最後だから、ね?」
( ^ω^)「・・・・」
マウスが言い出したら聞かない奴だと言うことも、長年の付き合いでブーンはよく知っていた。
( ^ω^)「・・・・まったく、お前は女の子に甘すぎるお」
ノ(゚ー゚リそ「え、普通じゃないの」
夕方、船乗りの案内で、ツンに指定されたレストランまでやってきた。
ミ,,゚Д゚彡「じゃ、俺は帰るから、あとはうまくやりなよ。
どうもこの辺は小綺麗で落ち着かねぇや」
ノ(゚ー゚リそ「お世話になりました」
ミ,,゚Д゚彡「いいって事よ・・・・そうだ、兄さん今度は俺たちと飲まないかい」
ノ(゚、゚リそ「いいんですか?」
ミ,,゚Д゚彡「おう。俺たちは海から帰ってくるとな、船着場の近くの小屋でいつも飲んでるんだ。
こんな小綺麗な店で飲むより楽しいぞぉ。いつでも来てくれ」
ノ(゚ー゚リそ「じゃあ今度、お邪魔しようかな」
じゃあな、と手を振り、船乗りの男は急ぎ足で港の方へ帰っていった。
ノ(゚ー゚リそ「船乗り達は夕方から酒盛り、ね」
どうやら船を盗むのは簡単そうだ。
店内に入ると、早速ウェイターが寄ってきた。
夕食時にも関わらず、他の客の姿は無い。
マウスが名乗ると、ウェイターは彼を二階へ案内する。
二階へ昇ると、バルコニーに近い席にツンが座っていた。
テーブルの上にはリザーブを意味する花籠。
ツンはマウスの姿を見つけて立ち上がる。
その表情には安堵の色が浮かんでいた。
ξ゚听)ξ「良かった・・・・来て下さったんですね」
ノ(゚、゚*リそ「あ・・・・えと、お待たせしました」
ツンはいつもの軽鎧姿ではなかった。
ちょっとおめかしした、という感じだろうか。
年頃の女性らしい服装に、よく見ると薄ら化粧もしている。
ξ゚听)ξ「今夜はこのお店、私たちの貸し切りです。
ゆっくり島の名産料理をご賞味下さい」
立ちっぱなしのマウスに対し、ツンが座るよう促す。
マウスは昼間と雰囲気の違うツンにどぎまぎしつつ、ブーンを椅子の脇に立て掛けて席に着いた。
ξ゚听)ξ「マウス様、ワインは」
ノ(゚ー゚リそ「あ、少しなら大丈夫です」
( ^ω^)(すwwwこwwwしwwww
カマトトぶりやがってwwwwお前笊じゃねーかwwwww)
程なくして料理が運ばれてくる。
やはり海に囲まれているだけあって、魚介料理が中心のようだ。
ノ(゚ー゚∩そ「あ、あの、キバアンコウは出ますか」
ξ゚听)ξ「キバアンコウですか?厨房にお願いしてみます」
ここまで来たら島を出る前に、噂のキバアンコウも味わっておこうとマウスは思った。
ツンはマウスの質問に答える形で会話を進める。
話題がショボンの事に及ぶと、ツンは特に熱っぽく語った。
平民出身のツンを王室付き親衛隊長に取り立てたのも、ショボンであったらしい。
きっとそれが、彼女がショボンに熱を上げる事になったきっかけなのだろう。
ξ*--)ξ「実はショボン様は、このヴィップの出身ではないのです。
でも本当にこの島の為に、身を粉にして働かれまして・・・・」
ノ(゚ー゚リそ「へぇー、意外・・・・お姫様と結婚する位だから、てっきり島の名士の方かと」
ξ゚听)ξ
ξ*゚听)ξ「・・・・そう!街にモンスターが出なくなったのも、あの方がいらしてからなんですよ!」
ノ(゚ー゚リそ「?・・・・それはすごいなぁ。
ところでショボン卿はいつ頃からこの島の領主を?」
ξ゚听)ξ「それは・・・・」
言い掛けてツンが首を傾げる。
ξ゚听)ξ「・・・・五年・・・・いえ十年・・・・だったかしら・・・・ええと、ちょっと待って下さいね」
ノ(゚、゚リそ(・・・・ん?)
マウスはどこかで似たような台詞を聞いたような気がした。
( ゚д゚)「私がこの宿屋を始めて十年・・・・あれ?三十年だったか・・・・な?
おかしいな・・・・何年経つんだろ・・・・?」
ノ(゚、゚リそ(あー、そうか、宿屋の親父だ。それに・・・・)
(‘_L’)「なにしろ・・・・そういう不安がいつから芽生えたのか、それすらもよくわからないのです。
昨日からのような気もすれば、何年も前からのような気もする」
ノ(゚、゚リそ「・・・・・・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・マウス様、どうかされました?」
ノ(゚、゚;リそ「え、あ、なんでしょう?」
ξ゚听)ξ「先程からお顔の色がすぐれないようですが」
ノ(゚ー゚リそ「ちょっと酔ったのかも・・・・それより今度はツンさんのお仕事の話も聞きたいです」
ξ;゚听)ξ「え、わ、私の・・・・ですか?」
自分の事に話を振られるとは思っていなかったのか、ツンは慌てた素振りを見せる。
ξ゚听)ξ「お話するような事なんて・・・・私は王家の一介の護衛に過ぎませんから・・・・」
ノ(゚、゚リそ「えー・・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・」
マウスはそれ以上聞こうとはしなかったが、がっかりしている事はツンに良く伝わったらしい。
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