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長いの
#3‐1


( ^ω^)




( ^ω^)




( ^ω^) ぱちり


( ^ω^ )



部屋に差し込む光が、朝を告げている。
ブーンはサイドボードの上で目を覚ました。

( ^ω^) サワヤカ

ブーンの相棒はというと、…どうやらまだ夢のなかのようだ。

( ^ω^)(うし、やるか)

( ^ω^)「おはおー」

ノ(ー ーリそ

( ^ω^)「マウスたーん、起きるおー」

ノ(ー ーリそ

( ^ω^)「ねぇ〜ん、あなたぁ〜ん、お・き・てw」

ノ(ー ー#リそ

ベッドから伸びた手がブーンのネック部分を掴む。
次の瞬間ブーンは、壁に向かって物凄い勢いで飛んだ。



#3 東部海岸ラプソディ


弦楽器を壁にぶつけるとどうなるか。
打撃音と弦の音が本体の空洞に反響して大変煩い事になる。
で、普通は壊れたり音が狂ったりするのだが、その点ブーンは一応生物、頑丈だった。

ノ(ー ーリそ「…やぁ、相棒。清々しい朝だね」

( ^ω^)「…貴様!」

マウスがのそのそとベッドから起き上がる。


ノ(ー ー;リそ「って、7時前じゃん。年寄りは朝早いなぁ」

何やら部屋の外が騒ついている。
今ので宿の客を大半起こしてしまったようだった。

ノ(゚ー゚リそ「おや、外が騒がしい。何故だろう」

( ^ω^)「おいコラ」

ノ(゚ー゚リそ「あれれ〜?僕の上着が無いよ〜?」

( ^ω^)「テーブルの上!」

ノ(゚、゚リそ「お、あったあった」

マウスが上着を手に取ったのと、部屋の扉が勢い良く開いたのは同時だった。

( ゚д゚)ノシ「やあ、おはよう!いい朝だね!」

( ^ω^)(来やがった)

マウスは上着を羽織りながら会釈する。

この宿の主人は話が長い。
早めにご退場願いたいところである。

( ゚д゚)「婚礼の祭りも今日が二日目、いよいよ島が賑わってくるよ。
     毎日色々と珍しい行事があるから見逃さないようにね!
     例えば今日の朝は聖なる宝石の儀式!
     ちなみに聖なる宝石の儀式ってのはね」

主人の話が長かったので割愛。
つまり三行で説明すると、

婚礼で使われる『聖なる宝石』を海中から引き上げる儀式
『聖なる宝石』は王家の婚礼の為に海中で清められ続けていて、こんな時でなければ絶対に見られない
儀式が行われるのは街から東の海岸

…だそうだ。
この説明に今日の夕食の魚の話は、果たして必要だったろうか。


ノ(ー ーリそ

( ゚д゚)「早く行ってきなって!私も店さえなけりゃ今すぐ行きたいくらいだよ!」

( ^ω^)(むしろ今すぐ行っちまえ)

ヒラヒラと手を振りながら退室する宿の主人。
マウスはまた立ったまま寝ている。

( ^ω^)「起きるお」

ノ(ー ーリそ「…キバアンコウって旨いのかねぇ」

( ^ω^)「え、何、その話だけ聞いてたん?」

マウスはようやく床に落ちているブーンを拾い上げた。

( ^ω^)「で、どうする。その儀式に行ってみるお?」

ノ(゚、゚リそ「んー」

マウスが気の無い返事をする。

( ^ω^)「マウス、ひょっとして昨日のこと気にしてるのかお」

昨夜の出来事――王女の口から聞いた『檻の島』という言葉。
それがどうもマウスは引っ掛かっているらしく、いつにも増して気が散っている様に見えた。

( ^ω^)「確かにあのお姫様を見てるかぎりだと、何か厄介な事に巻き込まれそうな気がするお。
       …この際さっさとトンズラするかお?」

ノ(゚、゚リそ「それは駄目」

( ^ω^)「おっお、律儀な事だお」

誉めているつもりは無い。皮肉である。
何せこの相棒の融通の利かない質が、度々本業の方に支障を来しているのだ。

( ^ω^)「…ま、どのみち急ぐ旅じゃ無し、たまにはのんびり観光客になってみるのも悪くないお」

そうして二人はとりあえず、暇つぶしに『聖なる宝石の儀式』とやらを見物することにした。





ミセ*゚ー゚)リ ヒョコ

マウス達が部屋を出たすぐ後、入れ違いに女の子がやってきた。
十歳かそこらの外見で、ちんまりとした様子が愛らしい。

ミセ*ー ー)リ すーはー

ミセ*゚ー゚)リ

深呼吸をして、女の子は元気よく扉を開けた。

ミセ*>ヮ<)リ「こぉーんにちはーっ!旅の音楽家さん!
      あたし、この宿屋の娘でミ・セ・リ、って…」

ミセ*゚ヮ゚)リ

ミセ*゚―゚)リ

ミセ#゚―゚)リ

ミセ#゚д゚)リ「お父さーん!音楽家さんどこ行ったのよ!」

…さっきまでの可愛らしさはどこへやら。
中に誰も居ないとわかるや踵を返し、階下の父親へ向かって怒鳴り散らしながら、ミセリは部屋を出ていった。

ミセ#゚―゚)リ「は?海岸!?なんで余計なことすすめんのよ!
      あたし明日までしか時間ないのにぃーっ!!」




街から幾分離れた東部海岸には、あまり人が来るという事も無く、
城前の中央広場に面した南部海岸と比べると、閑散として寂しい印象だった。

と言うか全然全く人気が無い。

( ^ω^)「儀式があるとか言う割には静かだお」

ノ(゚、゚リそ「誰も居な…お、アレは」

ちゃぷ、と水音を立てて、人がひとり水面に顔を出した。


ξ゚听)ξ

泳いでいたのはどうやらツンのようだった。
浜辺にマウスの姿を見つけると、彼女は驚いた様子ですぐに上がってきた。
セパレートの水着姿が眩しい。特に脚。

( ^ω^)(うーん、やはりまな板おっぱいだけが残念だお)

ξ゚听)ξ「マウス様、どうしてこんなところへ?」

ノ(゚ー゚リそ「何か珍しい儀式をやってるって聞いたもので」

ξ゚听)ξ「宝石の儀式でしたら8時からです。それに、もう少し北寄りの場所で行われます」

ノ(゚ー゚リそ「どうりで誰も居ないと思った」

ξ゚听)ξ「私がご案内する事になっておりました。ご一緒します」

ノ(゚、゚リそ「あれ、ツンさんも出るんじゃないんですか?」

ツンは王族付き親衛隊長だと言う話を小耳に挟んでいる。
王家の婚礼に関わる儀式なら、当然ツンも何か仕事があると思ったのだ。
何の気無しに聞いてみたのだが、すぐにそれが地雷だったと理解する。

ξ )ξ「今は、マウス様の案内役に専念するように命じられておりますので」

ショボン様に、と。

ショボンの名を出すとき、悲しそうな表情を彼女は見せる。

( ^ω^)(マウスたんアウトー)

ノ(゚ー゚;リそ「あ、あの、ここにはよく泳ぎに来るんですか」

ξ゚听)ξ「えぇ。今日はちょっと…気晴らしに」

何の気晴らしかは聞かないことにした。
多分原因は七割方、昨日のマウスの態度である。

ξ゚ー゚)ξ「人に言うと変だって思われるんですけど、この浜辺が好きなんです」

不意に表情を緩ませて、ツンは言った。

ξ゚ー゚)ξ「何も無い殺風景な浜辺ですけど、海の中にはたくさんの生き物たちが息づいていて…
      その魚たちの間でたゆたっていると、なんだか元気が出てくるんですよね」

マウスには何となく解る気がした。

ξー匆)ξ「…すみません、何だか一人で喋ってしまいましたね」

ノ(゚ー゚リそ「いえ」

ξ゚听)ξ「すぐお迎えに行くつもりでしたから、丁度良かったです。今着替えてきます」

そう言ってツンは大きな岩の陰に歩いていった。

( ^ω^)(チャンスださぁ行け覗くんだ)

ノ(ー ー;リそ(常識的に考えて、殺されるだろ)

ブーンとそんなやりとりをしている間に、着替えを終えたツンが岩陰から出てきた。

ξ゚听)ξ「お待たせしました、さあ参りましょ…」

突然、二人の前に影が躍り出る。
蟹と似た硬い外骨格を持つ生物。ただし大きさは1メートルをゆうに超える。
それら生物は、あちらの茂みやこちらの岩の下から次々姿を現した。

ξ゚听)ξ「下がって!モンスターです!」

丸腰のツンが、マウスを庇う形でモンスターの前に出た。

( ^ω^)(おお、なんと勇ましい)

ノ(゚ー゚リそ(お手並み拝見といきますか)


ξ#゚听)ξ「ハァアアッ!」

砂地を蹴り、ツンは一足でモンスターとの距離を詰める。
次の瞬間には彼女の拳骨が、モンスターの硬い外骨格を打ち砕いていた。

ノ(゚、゚リそ(3…4発入れたな)

( ^ω^)(ツンさんパネェっす)

続いて近くの二体を回し蹴りで凪ぎ払い、側面から飛び掛かる一体を受け流して拳を叩き込む。
狂暴なモンスター達が、彼女一人に次々と沈黙させられていった。

ξ#゚听)ξ「ラストォッ!!」

最後の一体に、ツンの踵が決まる。
完全に動かなくなったのを確認してから、ツンは肌や服に付いた砂を払った。
息は全く乱れていない。

ノ(゚ー゚リそ「ツンさん大丈夫ですかー?」

ξ゚听)ξ「えぇ、お見苦しい所を見せてしまって…」

ξ;゚听)ξ「…!マウス様!!」

振り向いたツンの顔が青ざめる。
マウスの背後、岩陰からもう一匹が飛び出していた。

ノ(゚、゚リそ「ッ!」

間に合わない、ツンがそう思った時だった。

マウスがブーンのヘッド部分に手をかけ、引き抜く。
すらり、ネックから銀色に輝く細身の刀身が姿を現した。
マウスは振り向きざま、飛び掛かってきたモンスターをその刀剣で両断する。
それは手練のツンが目を見張る程に、鮮やかな手並みだった。

ノ(ー ー;リそ(しまった…いつもの調子で)

( ^ω^)(マウスたん本日二度目のアウトー)

刀身に付着した体液を振り払って再びネックに収めると、
マウスはばつの悪そうな顔をして、ツンに向き直る。

ξ;゚听)ξ「…驚いたわ、意外とお強いんですね」

ノ(ー ー;リそ「まぁ、一人旅が長いので自然とこのように」

ブーンはヘッド部分を柄とした仕込み剣を持つ楽器だった。
音楽家のマウスが持ち歩いてもなんら不自然に見えないので、彼は長年重用していたのだが、

ξ#゚听)ξ「なるほど、昨日の接見にも、その凶器を持ち込まれたワケですね」

ノ(_ _;リそ「すみませんでした」

やはり怒られてしまった。

ξ゚听)ξ「…まぁ、いいです。特別に見逃してあげます」

ノ(゚、゚;リそ ホッ

ξ゚听)ξ「そろそろ参りましょう」





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