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どれを読んでも笹塚さん
弥子ちゃんと笹塚さん
手土産片手にふらりと桂木弥子の事務所へ顔を出した笹塚に飛んできた第一声が
その事務所の看板探偵である桂木弥子の「遅いじゃないですか笹塚さん!」だった。
はて自分は弥子と約束などしていたかと、笹塚はケーキの箱を持ったまま首を傾げる。

「名前さん、さっきまで居たのに」
「……あー、そういうことか」

名前ともここで会う約束などしていないが、恋人同士である二人が最近あまり会えていない事を心配して、
もっと早くきてれば会えたのにと弥子は言ってくれているのだ。

「あいつ、何分前にここ出た?」
「十分くらい前、かな」
「サンキュー、よかったらこれ食って」

手の中に押し付けるようにして渡したケーキの箱に、弥子は子供のように純粋な顔をして目をキラキラと目を輝かせる。

「ありがとうございますッ! こんなにたっくさん……!」
「名前も居るかもしんねーと思ったから、一応な。自分の分がないと膨れるし」
「あの名前さんが? うそだあ」
「俺の前では結構子供っぽいよ、あいつ」

唇の端を小さく上げ「じゃー俺行くわ」と言う笹塚に、弥子は手を振りながら「ごちそうさまです」と笑った。




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あきゅろす。
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