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どれを読んでも笹塚さん
相談夫婦(笹塚さん夫婦 子供も居るよ!)

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笹塚さんと名前さんの子供が出てきます。
子供の名前をこちらの三番目のところへ入力してお読み下さい。
男の子でも女の子でもどちらでも大丈夫です。
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「ただいまー!」

居間へと続くドアを開ければ、私の愛しい人たちが目に飛び込んでくる。
二時間ぶりに会う彼らにキャーと嬉しさのまま抱きつこうとしたら、衛士が床に座ってソファにもたれかかったまま私に向かって人差し指を唇へ当てるジェスチャー。
それであっと気付いた私は、ごめんと小声で謝るとお土産の袋をテーブルに置き衛士の横へ座った。

「楽しかったか? 弥子ちゃんと出掛けんの久々だったもんな」
「うん。だけど弥子ちゃん、また来週外国へ行っちゃうんだって」
「へえ。まあ、あの子なら食い物さえあればだいたい大丈夫だろ」

小声でのやりとり。
私達の視線は衛士の腕の中ですやすやと気持ち良さそうに眠る子供に注がれていた。
笹塚子供。私と衛士の子供は世界一あったかな腕の中で幸せそのものに抱かれているよう。
その小さな手には大事そうに布のボールが握られている。
そっとボールに触れると、それはするりと手から離れた。

「抱っこ代わろうか?」
「いや、さっき寝たばっかだし……まだこのままでいーよ」

そう言って衛士は何とも言えない優しい眼差しを子供に送る。
その横顔にそっと唇を当てると、衛士がふっと笑ってこっちを見た。
目の下のクマはもはや目鼻口と並んでごく当たり前のように知り合った当時から衛士の顔に定着していた。
それが一児の父となり、そのやつれきった顔に自然な柔らかさが溢れるようになったから驚く。
子供という存在は凄いね、と弥子ちゃんに話したら、名前さんの前じゃずっとそんなんでしたけど、なんて言われた。
でも違うんだよ、弥子ちゃん。

「私が居なくてさみしかった?」
「さみしかったって言ってほしいんだろ」
「素直に言えたら口にチューしてあげる」
「あー、どうも口寂しいと思ったら名前が居ない間、煙草吸えなかったからだな……」
「衛士はキスより煙草の方が恋しいんだ」

と、ちょっとむくれてみれば「じゃあとりあえずこっちから」と軽く唇が重ねられた。

「とりあえずって何よ失礼だなー」
「物足りねーの? 奥さん」

小首を傾げ余裕たっぷりに衛士が微笑む。
子供を抱っこしてない方の手を私の頬に当て、今度は長めに口付けられた。
緩やかに押し当てられたかと思えば離れるギリギリまで引き、角度を変えて再びしっとりと重ねてくる。
それは寂しかったよという気持ちがそっと伝わってくる、そんな甘えんぼうな口付けだった。
わかりにくい人。でもそんなところも好きだよ。

「今度は三人で弥子ちゃんに会いに行こうね」
「弥子ちゃんの食いっぷりが子供のトラウマになんねーか心配なんだけど」
「逆に喜ぶかもよ。サーカス見てるみたいで」
「あー……まあ、そーかもね」

衛士に肩を抱きこまれ、私はぴったりと密着するように衛士の身体に自分の身体を預けた。

「この前はお餞別にリクエストされてたカロリーメイトをダースであげたんたけど、弥子ちゃん機内でおやつ代わりに全部食べちゃってたんだって。今回はどうしよう」
「……増えるワカメでもあげたら」
「衛士、適当に言わないで」
「っていってもなあ」

難しい問題だよな、と衛士は真面目な顔して眠る子供に話しかける。
その顔はどこまでも優しさに満ちていた。
子供の存在が衛士にとってどれだけ大きいのかしみじみわかる。

「また弥子ちゃんにリクエスト聞いておくよ」
「そうして」

衛士の唇が私のこめかみにそっと触れた。
ん? と顔を上げれば、そこにはとろけそうに甘く私を見つめる衛士の瞳。
子供を見る目とは違うこの眼差しに私はいつも溶かされる。





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