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GS1〜3&レストラン
満たされるもの(琉夏)
「琉夏くん、せめてバナナだけでも」
「いらない。美奈子が食べていいよ」

そう言って琉夏くんはミネラルウォーターを飲んだ。
ごくりごくりと動く喉仏が色っぽい。
そんな姿に見とれていたら、琉夏くんが横目に私を捉えてニッと目を細めた。

「じゃあチョコレートは?ひとかけらでも」
「嫌だ。口の中、甘ったるくなるじゃん。甘いのは好きだけど朝向きじゃない」
「もう、じゃあ何がいいのよ」
「だからいらないって」

必死になる私を見て、琉夏くんはすごく嬉しそうに笑う。

「朝ごはん食べないとお腹すいちゃうじゃない!」
「別に大丈夫。俺、朝食抜きなんて慣れっこだったから」
「琉夏くん…」

高校時代の彼は貧乏一色だったっけ。
WestBeachでの琉夏くんと琥一くんの暮らしぶりを思い出したら切ない気分になった。
お金がないならお金がないなりにきちんとすればいいのに、琉夏くんときたらコンビニでしょっちゅう無駄遣いをし、それでお金が無くなって昼食を人にねだったりしていた。
もっとしっかりしろという怒りもあったが、当時は本気で身体を心配したものだ。
しかし今は違います。お金に余裕がないのは変わらないけど、私と暮らし始めたんだからしっかり栄養とってもらいます!

「じゃあさ、美奈子のチューでいいや。俺、それだったらいくらでも欲しい」
「キスで血糖値上がるの!?栄養取れるの!?」
「取れる。特異体質だから」
「天使みたいな笑顔で平然と嘘つくのやめて」
「はやくちょーだい。遅れちゃう」
「っていうか朝食とりなよ…」
「いただきまーす」

両手で包み込むように頬を挟まれ、琉夏くんの唇が私の唇に重ねられた。
ゆっくりと味わうように柔らかさを楽しんだ後、物足りないというように、琉夏くんは至近距離でじっと瞳を覗き込んでくる。

「あ、おもち見っけ」

そしてカプリと私のほっぺを噛んだ。





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あきゅろす。
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