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GS1〜3&レストラン
後輩はマゾ(新名)
いつも待ち合わせ時間の5分前には笑顔で駆け寄ってきてくれる新名くんが、今日は約束の時間間際になっても姿を見せない。
メールも電話も無いのでただ単に少し遅れているだけかな、とじっと公園入り口を見つめ続けていた。

「ゴメン、待った?」
「きゃあっ!?」

真剣に入り口を見つめていた私の肩をポンと後ろから不意に叩かれ、飛び上がるほど驚いて振り返る。
そこには私の反応にびっくりしたような顔で大きく目を見開く新名くんが居た。

「そんなマジで驚く?傷ついちゃうなー」
「満面の笑み浮かべてる人に傷つくって言われてもね…。いつもこっちから来るのにどしたの?」

今までずっと見つめていた公園入り口を指差すと、ああ、と合点のいったような顔で新名くんが髪をかき上げながら笑った。

「今日は公園の北の入り口の方からきたの。見てコレ」

私を驚かそうと思ったのか、背中で画してきたらしきソフトクリームを差し出される。

「…今、何月か知ってる?」
「ナニその呆れたような目!今流行ってんだぜ?ここの公園北口でしか売ってないレアな味よレアな。食べなきゃ駄目っしょ」

呆れた顔で新名君を見上げているにもかかわらず、彼はどうしようもなく嬉しそうに笑っている。
不思議なことに彼は私にこういう態度を取られれば取られるほどまるで尻尾を振る犬のように喜ぶのだ。

「一番人気のバニラでございます」
「へえ」
「素っ気無さすぎっしょ!」
「おしるこ、肉まん、ミルクティー」
「これからアイスクリーム食おうとしてる俺に向かって!」
「ははは」

見てるだけで寒くなるようなソフトクリームを、美味しそうに舌先で掬い取る新名くんのその仕草に笑みが零れる。
そんな私を見て新名くんも笑った。

「やっぱ欲しくなった?」
「いりません」
「うわーそんなキッパリ断られるとマジヘコむんですけど…」

唇を尖らせてちょっとしゅんとなった新名くんが可愛い。

「じゃあ一口だけもらう」
「ささ、お嬢様、どうぞ召し上がってください」

パアッと笑顔になった新名くんがふざけた口調でソフトクリームを口元へ寄せてくる。
うん、流行ってるだけあって確かに美味しい。

「ありがと」
「もういいの?遠慮しないで」
「私自販機で缶コーヒー買ってくるから」
「こんな寒い日はあったかいコーヒーが美味いっすよね!」
「新名くんも、一緒に飲も」
「女神!」

私の言葉ひとつひとつに笑ったり眉を下げたりする新名くんはとても可愛い。





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