GS1〜3&レストラン 雪の日の過ごし方(琉夏卒業後) 空気に春の気配が混ざり始めたな、と感じた矢先、いきなり真冬のような寒さに逆戻りした。 冬はキライではないが、長すぎてもうんざりする。 しかし今日は予定の何も無い日曜日。 外がどれだけ寒かろうと、ベッドの中でヌクヌクと幸せを噛み締めていられるのだ。 一度目覚めかけたが起きる気になれず、再び心地好い眠りへとうとうとしかけた美奈子の耳に、階段を上ってくる軽快な足音が聞こえてきた。 その足音が両親のものではないと気付くと同時に完全に目が覚める。 約束の必要なくふらりと家に訪れ、両親が美奈子に声を掛けることもなく直接部屋へ通す人物は一人しか居ない。 階段から美奈子の部屋まですぐそこだ。 今から着替える余裕も無い。どうしようと美奈子はフトンを頭からかぶる。 「美奈子、雪だ。寒いからあっためてもらいにきた」 ノックと同時に美奈子の部屋に入ってきたのはやはり琉夏だった。 顔を見せないわけにもいかず、美奈子はフトンからモゾモゾと顔だけ出す。 眉を八の字に下げ困ったような顔をして琉夏を見上げる美奈子に、琉夏が優しく微笑んだ。 「もう、来るなんて聞いてない。着替えもしてないし髪もボサボサだよ…」 「すぐ起きてくるかと思って下でおばさん達と珈琲飲んで待ってたのに、おまえいつまでもこないから来ちゃったの」 琉夏は当然と言わんばかりにベッドに入り美奈子の身体を抱きしめてきた。 全身で抱き着かれると少し苦しいが、溢れるほどの愛を注がれてる気がして嬉しくもある。 「お母さん達と何話してたの?」 「今度鍋するからコウと一緒に食べにおいでって。即答した、もちろん行きますって」 琉夏と琥一は美奈子の両親にとても気に入られている。 娘を守ってくれる頼もしいナイト達というより、琉夏と美奈子のボケに突っ込む琥一という図が見ててとても楽しいらしい。 「おばさん達、雪の中元気に映画見に行くって出かけちゃった。この家に今俺達二人きりだ。ベッド思う存分揺らせる」 内緒話をするように耳元で甘く低く囁く。 しかし「雪ふってるんだ…」と、美奈子の意識は自分より雪に向いてしまったらしい。 まだ教えなければよかったと思いつつ、琉夏は美奈子の腰を自分の方へ引き寄せた。 唇を二度三度重ね、耳にかぷりと噛じりつく。 「雪、どのくらい降ってるの?」 「いっぱい」 「積もってる?雪だるまとか作れるかなあ」 「余裕で作れちゃう。そんな中、美奈子に会いたくて頑張ってきた俺にご褒美ちょうだい」 「触りたいなぁ」 「俺の下半身?」 「違う、雪」 もぞもぞとパジャマの裾から忍び込んでくる琉夏の手を、美奈子は両手でやんわりと握りしめその動きを封じた。 「ね、ちょっとだけ庭に行きたいな。雪だるま作りたい」 「駄目。もっと目を潤ませて、イキたい…琉夏くん…お願い…って言わなきゃ離さない」 「おやつにホットケーキ作ってあげる」 「よし美奈子すぐベッドから出るんだ。俺、着替え手伝ってやる」 ひらりと素早くベッドから出た琉夏が無駄にカッコイイ笑顔で美奈子を手招きする。 きっと美奈子一人だけだったら、雪が積もっていると知っても雪遊びしたいだなんて思わなかっただろう。子供のようなことでも一緒になって楽しんでくれる、そんな琉夏が大好きだ。 ハイばんざいしてーと琉夏に言われ素直にパジャマを脱がされながら、心にじんわりと幸せが広がっていくのを感じた。 「きてくれてありがとう、琉夏くん」 愛しさに言葉が零れた。 ------------------ 高校卒業してから同棲するまで、一年くらい間があるといいなと思うのです。 琉夏は一秒でも早く同棲したかったんだけど、 「卒業してすぐ同棲だ?んなもん美奈子が苦労するだけだろーがバカルカ!」 と琉夏バンビの保護者(ハハハ)な琥一が許さなかったという。 生活が安定というか、そういう下地がしっかりしてからじゃないと駄目だと自分らの高校時代のことは棚上げで力説するアニキ(笑) 琉夏バンビ+琥一が大好きです。 琥一は恋愛感情無くて、手のかかる奴らだ…と思いつつみんなでワイワイしてたら私が幸せ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |