silent child
9
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あれから直ぐに、二人で発表会ライブに参加することを、マリオと大和の先生に報告した。
そして――、今日は終に、メンバーとの顔合わせの日。
教室に通っている期間や、技術レベル、友人関係等を考慮して、先生達がメンバーの組み合わせを決めるらしい。
大和とは同じバンドだって、知っているけど、他のメンバーのことは全く知らない。だから、凄く緊張する。さっきから、馬鹿みたいに、心臓がドクンドクンと暴れている。
指定された時間に、スタジオの前に来たはいいけど……、緊張して入れない僕。
心の準備がつかなくて、何度も深呼吸を繰り返す。
「憲太、もういいだろ?」
5分くらい経ってから、焦れた大和が扉の取っ手に手をかける。
「えぇ! もう?!」
「だって、もう時間だし。行くよ、憲太。」
(待って……っ!)
ガチャッ
大和が重たい扉を開けた瞬間――、僕の口から出る音も消えた。
「こんにちはー!」
挨拶しながら、扉の向こうへと進む大和。僕も置いてかれないように、大和の背中に着いて行った。
中に居たのは、マリオと……、赤髪と金髪。
「おっ! 来たな、ケンタ! ヤマト!」
「ちわー!」
マリオは相変わらずテンションが高い。
それに劣らず、愛想良く挨拶をしてくる赤髪。燃えるような赤い髪に、口にピアスしてるようなヤツだけど、不思議と威圧感は抱かなかった。
もう一人の金髪。偉そうに足を組んで、下を向いていたヤツがゆっくりと顔を上げた。
「あれ? マジ?」
(え……? 嘘……?)
僕と大和は、同時に驚いた。向こうも、いつもは吊り上げている目を、少しは丸くしているってことは驚いているんだと思う。
「石川じゃん。」
金髪は……、同じクラスの石川君だった。
「へぇー。あの石川がなぁ、意外。」
「……そっちこそ。」
大和に対しての返事だけど、石川君の目はこっちを向いていた。
大和は学校でもそれらしい格好をしてくるから、ちっとも意外なんかじゃない。石川君が、意外に思ったのは、きっと僕のこと。
「なんだい! 3人とも知り合いかぁ?」
「大輝ぃー! 紹介しろよなっ! 俺だけ寂しいじゃんかぁ!」
どうやら、石川君と赤髪は知り合いらしい。
赤髪のさっきの一言で、とりあえず自己紹介をしようってことになった。
「じゃぁまず俺なっ! 俺は、3中3年の真幸! ボーカルやってんだぁ! ヨロピクー!」
「4中3年の大輝。ドラムだ。」
「4中3年の大和。ベースやってる。ヨロシクー!」
3人の自己紹介がテンポ良く終わって、一斉に、僕一人に視線が集中する。
「お前はー?」
マサキが無邪気な笑顔で聞いてくる。
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