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silent child
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 いつもの帰り道。
 背中には、いつもよりも軽い学生鞄。隣には大和。

 家族と一緒に、車で帰る人が多いのか、通学路には、いつもよりも人が少なかった。


「あーあ、終わっちまったー。中学も早かったよなぁ。終この間、小学校卒業したばっかな気がすんのにさぁ。」
「うん。何だか……、寂しいよね。」
 土手を歩きながら、ちょろちょろと流れる川を眺めれば、何となく寂しさが増してくるような気がした。

 小学校中学年から今までずっと、同じクラスで過ごした大和。
 4月からは、別々のクラスで過ごすことになる。


「高校も、また一緒に通おうな! クラスが離れたって、学校は同じなんだからさ。
 いつの日か憲太が、「この子も一緒に帰っていい?」なーんて、友達連れてきたりしてな。ははは、そうしたら面白いな!
 うーん、だけどやっぱ、ちょっと寂しいかも。」
 笑いながら言ったくせに、最後はちょっと眉を下げて、複雑な顔をする大和。

「僕にそんなこと、出来るのかなぁ。」
(友達か……)
 新しい学校に行けば、新しい出会いがある。矢口先生がそう言っていたっけ。


「出来るよ。」
 自信たっぷりの大和の声に、ちょっとドキッとした。
 大和の笑顔が、太陽よりも眩しく見える。
 絶対に出来ると確信しているかのような、力強い言い方。そんな言い方されると……、僕まで、本当に出来ると思えてくるんだから、不思議。


「憲太なら、絶対に出来るよ!」
「ありがとう。僕……、頑張る!」
 新しい学校に新しいクラスで――、新しい僕になれるように。
 だって――、喋れなかった中学生の僕には“さようなら”をしたんだから。


「応援しているから。
 誰よりも近い場所、憲太の隣で。」

 こんなこと言ってくれる大和のことが――、大好き。
 大好きな人は沢山居るけど……、大和はやっぱり“特別”。
 誰よりも早く大好きになって、誰よりも長い間大好きで、誰よりも頻繁に大好きだって思って、それに……、これからもずっと大好きでいる自信だって、こんなにも溢れてくるんだから。


 大和は僕の――、一番大好きな人。


「あのさ、その……、前、憲太言ったろ? 俺のこと……、何つーか、その……、えっとさ。」
 大和は急に、下を向いてもじもじし出した。
 こういう大和は珍しいから、どうしていいのか分からなくなる。
 僕はとりあえず、大和をじっと見つめていた。

「だからさ……、そのぉー、言ったろ?俺のこと……、――――だって。」
 ぼっと火の吐いたかのように真っ赤になる大和。
 最後の方だけ、声が小さすぎて聞き取れなかった。

「え?何?」


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あきゅろす。
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