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silent child


 休んだことで、やっぱり目立ってしまったんだなと思う。
 でも――、ちっとも嫌じゃなかった。
 逆に、皆が大げさな程、温かく迎え入れてくれたことが、凄く嬉しかった。

 僕は顔を真っ赤にしながら、一人一人に会釈を返した。今の僕には、これが精一杯。


 今では、大和と離れてしまった席。
 それでも大和は、休み時間の度に、僕の席まで駆けてきてくれたんだっけ。

 今もほら。
 大和は鞄を自分の席に置いて、直ぐに僕の席へと駆けてくる。

「憲太。机の中、見た?」
(机の中?)
 何かあるのかと思い覗いてみれば、一昨日と全く変わっていない。
 大和を見て、よく分からないんだけど、という顔をしてみせる。

「卒アル、出してみな?」
 大和はにやにやしながら、僕に促す。
(卒アルが、何?)

 数日前に配られた卒業アルバム。僕は一回パラパラと見た後、机の中に閉まったまま、放置していた。
 目立つのが好きじゃない僕。そんな僕の写真は、大して載っていないし、個人写真の僕なんか、根暗っぽいような酷い顔をしている。

 大和が意味深なことを言うから、きっと何かあるんだろうなと思い、引っ張り出してみる。

「捲って捲って!」
(何……?)
 意味も分からないまま、大和の言う通りにする。

「もっともっと!最後の方だって!」
 バラバラと捲っていき、最後のクラスが終わり、学校行事の写真が続く。長いそれも終われば、出てきたのは――、カラフルな文字で溢れたページ。

(何、これ……?)
 前までは無かったページが、そこにはある。確か元は、真っ白のページだった。

 びっちりと埋まった文字を読んでみれば――、あっという間に、顔が真っ赤になった。


『高木とはあんまり関われなかったけど、印象深かったお前のことは、きっとずっと忘れないと思う!同窓会で会った時こそ、お前の声、聞かせてくれよな!』

『高木君のこと、いつも陰で応援していました。矢口先生とかに責められている時、助けられなくてごめんなさい。新しい学校に行っても、頑張って下さい!』

『高木君と隣の席になったこと、合計3回もあったってこと気付いてた?おっちょこちょいの私はよく教科書を忘れて、その度に高木君のお世話になっていたね。これからは、高木君は居ないんだから、忘れ物しないように頑張る!』

『修学旅行で同じ班になって、初めて高木と関わったけど、実はお前って、優しくていい奴なんだなって思った!調子悪くなった俺の代わりに、リュック背負ってくれたってこと、絶対忘れないから!』


 書かれているのは――、皆からのメッセージ。クラスメイト38人からの、僕へと宛てた言葉達。

(どうしようっ)
――涙が出そうなくらい、嬉しすぎる。


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