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事後処理
勢いで飛び出したこともあり、自分に視線を注がれても後戻りはできなかった。
いよいよ楽しげな会話に割って入る。

「五日は合宿の出発日。逃避行は無理やで」

渾身の一撃といったところか。
テーブルに手を付き、汗ばむ顔で言い聞かせた。
通路を挟んだ隣に陣取る団体客が騒ぎ出す頃、恥ずかしくなって顧問側に腰は下りたけれど。

「はっははは!」

渡邊が縮まる教え子の肩をバンバン叩く。

「奈留、誤解されとるでぇ。俺はこのままで構へんけど、解きたきゃ事後処理よろしゅう」

さらにウインクして帰っていく。
財前は一部始終を見ながらほくそ笑み、考える。
はてなだらけの脳内がパンクしそうな先輩は放っていこう。
邪魔者が自分たちであることを念頭に、二人の元へ進む。

「二人も来てたんだ」
「おばさんはおっさんとごゆっくり」
「周り、おじさんばっかりだよ」

たこ焼きをすべて平らげた遠山の目が彼女に向いた。
すると一瞬できらきら輝き、続いて大声を上げる。

「奈留や!」

大好きな奈留に飛びつくより先に、首根っこを掴み阻止した財前。

「ややこしなる。帰るで」
「えーっ、嫌やぁぁぁ!!」

ようやっと嵐が去った。
ここにいる理由を説明されて、忍足はしぼんだまま動かない。
教師と生徒の禁断の関係。
二人に限ってまさかと心配した結果、誤解で済ませたが腑に落ちない。
顔を上げると、不意にまだ巻かれてある包帯がちらつく。
聞こうと思えば聞ける距離だった。
しかし、忍足の血相が激変する。

「ぶわあぁぁぁっ!!」
「あ、れ?」
「辛っ、めっちゃ辛っ!」
「マヨネーズじゃなかった」

たこ焼きに辛子を大量混入すれば喉は火傷っぽく焼ける。
恐るべし、ボケ。
来る四泊五日の合宿。
忍足と奈留の関係は、どう進んでいくのだろうか。





To be continued.
20081223

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