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部屋割り
一氏、金色、遠山は愉快班。
白石、千歳、忍足は三美班。
石田、小石川、財前は未知班。
智香子、奈留は女子班。
広間では四つに分類済みのグループ。
次に合宿予定表と、あってないような注意事項を書いて示した紙が計三枚配られた。
皆体操座りで説明に耳を傾ける。

「三美て、どんな括りやねん」
「校内トップスリーの美形で有名やろ。そっから取った」

愉快班は見ての通り、未知班はいろんな意味で見ての通り。
そう返すと忍足はほんのり頬を染め、無理やり納得した。

「智香子が三日目で合流するまで岩崎の部屋一人か」

合宿を誰よりも楽しみにしていた人物が後半からしか参加できない。
だが、問題は他にもあった。
なんと、この合宿所に存在する部屋は狭い四部屋のみ。
どれも三人でぎりぎりの広さであるゆえ、渡邊の個室がない状況だ。
誰か入れてくれ、と冗談で言いつつ最善策を思いついた。

「女子班に俺が入れば人数合うなぁ。ほな加わるわ!」
「そりゃ無理やろ」

自信満々だったが、即却下される。

「ちゅーか部屋割り班発表するだけで時間食いすぎ」
「話膨らましたの謙也や」

先ほどから喋っているのは忍足と渡邊の二名。
ごもっともなツッコミが石田の口から飛び出し、ピキピキと額に立てる青筋を必死に抑え込む。

「ワイが奈留のとこ行こう思たんに」
「俺も」
「女の子一人は寂しいやろし」
「部屋丸ごと開けてどないすんねん。狭い言うとんのがわからんか!」

まるで父親の説教だ。
終わった話を掘り返す愉快班がとばっちりを食らった。
窓だらけで風通しの良い位置にあるロビー。
すべて全開にして、白石は一点を見つめた。
マネージャー補佐役の名目で連れて来た本人も、みんなと笑っている。
きっとなぜ自分が呼ばれたのかわかっていない。
控えめに上げるその顔色は、後々さまざまな思いに気づき変わるだろう。

「ほんじゃ只今より、四天宝寺中学校男子テニス部の強化合宿を始めます!」
「オサムちゃん、家出てから家帰るまでが合宿ちゃうの!?」
「当たりやと思う奴は部屋に荷物置いて外に集合!」

あぐらをかきながら寝る財前を右手で、二人分の重い荷物を左手で引っ張る忍足のものすごい気合いに、奈留が声援を送った。





To be continued.
20090404

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