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マヨネーズ愛好会
「近藤さん。こいつはマヨネーズから抜け出せなくなった俺のマヨ友だ」

センス最悪の設定。
マヨ友なる呼び名を付けられた側の心境は察していない。

「俺も手伝いたいが仕事がな。なかったら手伝うよ? でも仕事がな」

どうやら噂が広まったようだ。
梨沙の恥ずかしがり屋っぷりを土方が克服させるべく立ち上がっていること。
別に治さなくていいという考えを持つ正直な心の鍵は、この男によってこじ開けられるのだろうか。

「あんたに頼むと引きつった顔しかできねェだろうから(頼む気は全然ないし)問題ない」
「ちょちょっ、トシィ!?」

せっかくの好意を無視して次に当たる。
今すぐ冷酷な鬼をひっぱたいてでも逃げたい。
梨沙はそんな気持ちでいっぱいだった。

「絶対変わらんわよ」
「土方さんもよくあんな子のために頑張りはるわ」
「何にもできないくせに女中なんて笑わせるよね」
「相手の気を引く才能だけはあるんじゃないかしら」

一方通行に近い関係なのに、女中は根も葉もない噂を立てて騒ぐ。
こうした周りの妄想により、ますますイメージは悪化するのだ。

「どっかに適役がいそうなもんだが」

土方はマヨ友を助けろと命令口調で頼んでいく。
しかし引き受ける輩など皆無に等しい。

“見ず知らずの人にマヨネーズオタクだと勘違いされている”

事実無根が生んだ悲しい情報だ。

「あっ、副長。冷蔵庫のマヨネーズが異常なスピードでなくなってますよ」
「驚くな。昨日の消費量は過去最高程度。まだまだいけるぜ」

風が入り、涼しくなってくる外。
扇風機ほどの威力はないがカーテンは微かに揺れる。
掴まれた左腕を離し、早く仕事場へ戻り……。
そうしたいのはやまやまだが、一人さぼった結果は変えられない。
長いこと話す二人を見て仕事前の雑談か、と気分がだれてきた。

「今日お前オフだよな、山崎」
「いえ、仕事入ってます」

無理を言って手伝わせるつもりだ。
強引な手口が明かされる。

「この梨沙がマヨネーズ愛好会の会員でな」
「いえ、仕事溜まると厄介だから」
「集会のたびに恥ずかしがられちゃ他の会員と会員同士の争いが……わかるだろ?」
「いえ、さっきから連呼してますけど会員自体集まらないと思うんで」

ピクッ。
何気なく放たれた一声にとうとう鬼の副長がキレた。

(不安だらけのマヨ友)





To be continued.
20080825

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あきゅろす。
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