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気づいた(幸仁)
*校門にて

「幸村くん、おはようございます」
「ああ、おはよう」

後ろから登校してきた柳生に話しかけられ、幸村は挨拶を返した。

「今日は天気がいいね」
「午後は雨が降るようです」
「そうなんだ」

並んで歩いていると、いきなり幸村が柳生の肩に触れる。

「どうしました?」
「まだ張ってるね。昨日の練習後よりひどくはないけど」
「何のことです?」
「俺には全部分かるよ」

その目はとうに正体を見破っていた。

「素直に騙されてくれんもんかのう」

変装をといて苦笑いを浮かべるのは仁王。

「昨日無茶なラリー続けてただろ。今の状態くらいお見通しだよ」
「怖い奴じゃ」
「あと……真田が電話くれてさ」

ほんの数分前の話。

「気をつけろ幸村。そっちに仁王が行く恐れがある。くれぐれも騙されてはいかんぞ!」

などと、いらない情報を伝えてきたのだ。

「自分が引っかかったからってなんで俺に電話するんだろうね。真田が騙されるようなトラップに俺がはまるとでも思ってるのかな」
「なんか黒い空気になってきたぜよ」

真田は今まで引っかかった部員の愚痴を聞いてきて、次は自分かもしれないと警戒していた。
残すは自分と幸村の二人のみで、いつ来てもおかしくなかった事態が起きただけのことだが……。

「ふふ……もやもやする」

少々機嫌を損ねさせてしまう。

「柳生は上手くいったみたいじゃな」

テニス部の部員を全員騙せるか試した結果、唯一部長が記録達成を阻んだのであった。





END.


仁王はたぶんあの手この手で再びリベンジを、と企んでます。


20100305

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