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史上初(銀新神マ)
*どこかの飲み屋にて

「最近どうよ。俺は見ての通り金欠病さ」
「コルァァァァ!!」

男が酒をつまみながら隣の男に話しかけた時、屋台が破壊音とともに崩れた。

「か、神楽」
「お前ここの小ネタ劇場に出すぎアル!」
「僕なんか準主役的な位置なのに最初の一度しか出させてもらってないんですよ!」
「新八も来たのか」
「四回中三回登場って何の裏切りだヨ。私もこれで並んだけどな」
「あ、あの君たち、おじさんも今記念すべき初出演を」

怒り狂った神楽と新八に睨まれ、おじさんは縮む。

「ま、でも真選組はまだ近藤さん一人だけらしいし、土方さんや沖田さんさえ阻止しとけば最多出演も夢じゃないですよね」
「あいつらは要注意アルな」
「心配すんな。名前だけならノーカウントだ。これから先、名前だけ出せばいいだろ」
「三人でしたっけ。出しゃばり真選組の要注意人物」
「ハゲもときどきチョロチョロしてるからな。あと誰かいるか?」
「いないアル」
「ふぅ、僕は今回で二度目かァ」

長々と自分と無関係な内輪会議を繰り広げられて放置され続けた男。
良心で新八が話しかける。

「長谷川さんはこれで何回出たんですか?」

マダオ、喋らない。

「そっとしといてやるネ。赤飯食べれる日まで」

マダオ、動かない。

「主人公はな、名脇役が隣にいることで輝くんだ。いいか、俺とあんたが肩組んでピースでもしてみろ。だめ人間同士のカメラ目線ほどかっこ悪いもんはねェぞ」

マダオ、枯れる。

「あれ? 銀さん、この漫画に名脇役っていますかね」
「あん? んなもんてめーで決めろや」
「じゃあ僕ですね」
「私アル」
「おめェはマスコットだっつったろ」
「できればいつかお通ちゃんと出たいな」

マダオ、干からびる。

「新八、お前はせいぜいアネゴまでヨ」
「何言ってんだ。眼鏡が限界だろ」
「お通ちゃんです! 夢くらい勝手に語らせてくださいよ」
「だったら俺は結野アナでいくぞ」
「私、そよちゃんに会いたいネ」

マダオ、塵と化す。

「めんどくせェが励ますぞ」
「了解アル」

三人で風にさらわれそうなマダオの残骸を寄せ集める。

「おい喜べ。こんだけ文字数の多い回は初めてだとよ」
「マダオのおかげヨ」
「さ、帰りましょう」

マダオ、元通りになる。

「お前らがこんなに文字数消費したんだろーがァァァ!!」

役に立たずじまいの彼は、今日も生きています。





END.


千字(改行込み)超えは密かにすごいんだよマダオ。


20081011

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