形態変化を遂げた獄寺さんの武器は凄まじかった。
３人がかりでも苦戦していたザクロ相手に、互角の…いやそれ以上の力で圧倒していたからだ。
獄寺さんの攻撃を受け止めていたザクロの身体が徐々に後退して行く。
そして次の瞬間、獄寺さんは一撃を放った。
「トルネード・フレームアロー！！」
「バーロー！俺に効くかよぉ！！」
渦を巻いた嵐の炎がザクロの目前に迫る。それを宣言通り、片手で受け止めたザクロだったが、
「恐竜の肌（ダイナソー・スキン）を削っているだと！？」
獄寺さんの力は、ザクロの予想を遙かに上回るモノだったらしい。
「オレの怒濤の攻撃、受けてみやがれっっ」
再び弓を構える獄寺さん。
拙いと思ったのかザクロが咄嗟に上空へ逃げる。
「逃がすかよ！」
敵の姿を追いかけ、上空に向け弓を構えた瞬間、
「っっ」
獄寺さんの体勢が崩れる。放った矢はひらりとザクロに交わされていた。
どうしたのだろうかと疑問を感じた時、いやな予感が私の脳裏を過ぎる。
「獄寺さんまさか!?」
「背中を痛めてるな？」
それにはザクロまでもが気付いてしまった。
「それで俺に勝てるかよ！！」
またしてもザクロが姿を消す。それを必死に探す獄寺さん。けれど、
「おせーぞ！バーロー」
私が危ないと思った次の瞬間には、獄寺さんの身体が宙を舞っていた。
「うぁああっ」
「獄寺さん!!」
「おっと。俺とした事が、雑魚(ざこ)相手にマジになっちまったぜ」
「…っ…こ、これぐらいでヤられてたまるか!!」
獄寺さんは空中で体勢を立て直すと、ザクロに向け、再び弓を構える。
「果てろ！――ガトリング・アロー！」
刹那、小型の嵐の矢が４発連射され、ザクロの両腕を突き刺した。
身体を固定され、身動きを取れないザクロ。
「てめーっ、こんなオモチャで俺を止められるとでも思ったかぁぁ!!!」
しかし、ザクロは身体に纏(まと)う嵐の炎で、獄寺さんの矢を粉砕。
「捻り潰してやる！」
更に炎出力を上げ獄寺さんに迫るかと思われた。
だが、ザクロは「なーてな」と嘲笑い、余裕の笑みを浮かべていたのだ。
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