そんな中、トコトコと私に向かって忍び寄る影が…。その影はピョンと私の膝の上に着地すると、
「にょ〜ん」
愛らしくひと鳴きした。
影の正体は獄寺さんの匣兵器・嵐猫の瓜ちゃん。
瓜ちゃんはゴロゴロゴロと、喉を鳴らして私の手に擦り寄って来る。
「どうしたの?」
「にょ〜〜ん♪」
優しく頭を撫でてやれば、瓜ちゃんは嬉しそうに目を閉じた。その姿に笑みを深めていると、突然辺りが暗くなって…。
「え?」
驚き、顔を上げると私の周りを囲むように守護者の開匣したボンゴレ匣達が取り囲んでいたのだ。
「え、えっと…」
瓜ちゃんやクロームさんのムクロウなら小柄な方だし、よしとしよう。
けれど、笹川さんの漢我流やランボくんの牛丼に囲まれると…威圧感が。
「流石に名前さんを護る為に作られた匣兵器なだけはある。みんな貴女の事が大好きなんですね」
入江さんにそう言われ、私は周りを見回した。こうして囲まれるのも彼らの愛情なのだと思うと悪い気などする訳がなく、
「みんな、有難う」
だから私は精一杯の感謝を、心からの笑顔と共に匣兵器達に贈った。
――と、その時、
「ちょ、おいナッツ!ど、どうしたんだよ!」
もぞもぞと身動きを取る沢田さんが目に入る。
よく見ると彼の後ろに隠れながら、こちらをチラチラと窺う、ナッツちゃんの姿が見えた。
「お前も名前さんの傍に行きたいのか?」
「…ガゥー」
「こいつ戦う時以外はメチャクチャ臆病なんだ」
プルプル震えながら、こちらをチラチラ窺うナッツちゃん。
プルプル、チラチラ。プルプル、チラチラ。
確かに彼の言う通りみたい。どうやら私の周りに集まった匣兵器達が恐くて近寄れないらしい。
「…おいで…」
私は笑顔で右手を差し出した。ナッツちゃんが嬉しそうに尻尾を揺らす。
しかし、それを見た瓜ちゃんの瞳がギラリと瞬(ままた)き、そして、
「にょーん!!」
「Σうにゃ!」
「瓜!?」
ナッツちゃんに……飛びかかっていった。
2匹は沢田さんも巻き込み、バタバタと大乱闘。
その様子を見た獄寺さんは「何て恐れ多い事を!」と顔を青白く染める。
「たく、何なんだこの学芸会は…。よくもまぁ、このガキ集団で生き残って来たもんだ」
呆れたようにγさんが呟いた。
「だからこそです。そうですよね、名前様」
ユニちゃんの言葉に私は満面の笑みで頷いた。
そう。この明るさがあったから、ここまで挫(くじ)けずに来られたの。
だから大丈夫。最後の戦いも絶対みんなで――、
笑顔の元気
(乗り越えてみせる)
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