リボーンさんの問いかけもまた、尤もなものだ。
ユニちゃんはと言うと、花のような笑顔を浮かべて、ただ一言「解るんです」と、答えるだけ。
もしかしたら深く追求しない方がいい事なのかも知れない。それでもどうしても気になって…。
「どうして解るのか、聞いても……いい事?」
控えめに訊ねてみると、ユニちゃんは私の右手を取り、温かい両手で、そっと優しく包み込んだ。
「上手く説明は出来ませんが、あの人(白蘭)と私は…似てるから…」
そして彼女の口から聞かされた理由に、ほんの一瞬だけ思考が停止する。
二人が似ている?到底信じ難いその話に、私は困惑の色を瞳に宿して彼女を見返した。するとユニちゃんは、さも当然のように私にこう言うの。
「驚く事ではありませんよ。私も白蘭も、名前様をお慕いする者同士、よく似ていると思います」
それから「ぁ」と小さく声を上げ、ユニちゃんは沢田さんを振り返った。
「そういう意味では沢田さんと白蘭も似てますけど」
「なっ!!??」
指摘された沢田さんは、みるみる頬を染めて行く。――が、その後には顔を真っ青にし、頭を抱えて唸(うな)りだした。
するとここで、リボーンさんが一言。
「ダメツナめ。ユニに名前の事が好きだと見抜かれ照れたはいいが、白蘭に似てると言われてショックを受けてやがるな」
「いちいち説明しなくっていいってリボーン!」
二人のやりとりにユニちゃんはクスリと笑みをこぼした後、静かに瞳を伏せ、驚く事を口にする。
「それと、皆さんにお伝えしなくてはいけない事があります」
“私はもう逃げません”
それには私も、そして沢田さんも声を上げた。
「ゆ、ユニちゃん!!?」
「逃げないって、駄目だよ諦めちゃ!折角ここまで無事で来たのにっ」
「諦めた訳ではありません。これだけは昔からずっと解っていたんです。この森が白蘭との最後の戦いの場所になる事が」
そうか。だからユニちゃんは自分から森へ行こうと。彼女は此処が最後の地と解っていたから…。
ユニちゃんはスッと目を開け、雲一つない夜空を見上げて、こう告げる。
「そして明日。明日の夜明けと共に始まる戦いで全てが……終わります」
それは、この場の誰もが望んだ"この戦いの終幕"を予期した言葉だった。
決 戦 前 夜
(姫を苦しめた戦が、もう直ぐ終わりを告げる)
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