[携帯モード] [URL送信]
131.決戦前夜 ***


リボーンさんの問いかけもまた、尤もなものだ。
ユニちゃんはと言うと、花のような笑顔を浮かべて、ただ一言「解るんです」と、答えるだけ。
もしかしたら深く追求しない方がいい事なのかも知れない。それでもどうしても気になって…。



「どうして解るのか、聞いても……いい事?」



控えめに訊ねてみると、ユニちゃんは私の右手を取り、温かい両手で、そっと優しく包み込んだ。



「上手く説明は出来ませんが、あの人(白蘭)と私は…似てるから…」



そして彼女の口から聞かされた理由に、ほんの一瞬だけ思考が停止する。
二人が似ている?到底信じ難いその話に、私は困惑の色を瞳に宿して彼女を見返した。するとユニちゃんは、さも当然のように私にこう言うの。



「驚く事ではありませんよ。私も白蘭も、名前様をお慕いする者同士、よく似ていると思います」



それから「ぁ」と小さく声を上げ、ユニちゃんは沢田さんを振り返った。



「そういう意味では沢田さんと白蘭も似てますけど」

「なっ!!??」



指摘された沢田さんは、みるみる頬を染めて行く。――が、その後には顔を真っ青にし、頭を抱えて唸(うな)りだした。
するとここで、リボーンさんが一言。



「ダメツナめ。ユニに名前の事が好きだと見抜かれ照れたはいいが、白蘭に似てると言われてショックを受けてやがるな」

「いちいち説明しなくっていいってリボーン!」



二人のやりとりにユニちゃんはクスリと笑みをこぼした後、静かに瞳を伏せ、驚く事を口にする。



「それと、皆さんにお伝えしなくてはいけない事があります」

“私はもう逃げません”



それには私も、そして沢田さんも声を上げた。



「ゆ、ユニちゃん!!?」

「逃げないって、駄目だよ諦めちゃ!折角ここまで無事で来たのにっ」

「諦めた訳ではありません。これだけは昔からずっと解っていたんです。この森が白蘭との最後の戦いの場所になる事が」



そうか。だからユニちゃんは自分から森へ行こうと。彼女は此処が最後の地と解っていたから…。
ユニちゃんはスッと目を開け、雲一つない夜空を見上げて、こう告げる。



「そして明日。明日の夜明けと共に始まる戦いで全てが……終わります」



それは、この場の誰もが望んだ"この戦いの終幕"を予期した言葉だった。



決 戦 前 夜


(姫を苦しめた戦が、もう直ぐ終わりを告げる)


[←][→]

あきゅろす。
無料HPエムペ!