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130.大空の助言 ***


何かあっては遅いと、ディーノさん達には散々心配をされてしまった。

けれど雲雀さんは反対する事なく、一言だけ、



『貴女の好きにすれば』



――本当に一言だけ、私に言ってくれたの。私が最も喜ぶ、その言葉を。




「それで雲雀さんにこのお店の場所を聞いて、此処へ来る途中でγさん達とお会いしたんです」



初めての出会いが出会いだった為、特にγさんには警戒をしたのだけど、ユニ姫の安否を知りたいと、必死に懇願する3人の姿に完敗し、一緒に此処まで来たと言う訳だ。

でもそのお陰で皆のピンチに駆けつける事が出来たのだから、私を運んでくれたγさんには、感謝しなければいけない。



「だから言い合うのは止めて下さい、獄寺さん」

「ちっ」



説明を終えた後も獄寺さんは文句ありげな表情をしていたが、彼はそれ以上γさんに絡む事はなく、ムスっと黙り込んで。

その姿に苦笑いを浮かべつつ、私は沢田さんを振り返ると、これからどうするのかを訊ねてみた。



「と、取り敢えず移動した方が良いかな。お店も滅茶苦茶になっちゃったし。ああ〜川平のおじさんにどうやって謝ろう」




頭を抱えて、うーうー唸る沢田さんに、リボーンさんがサラッと一言。



「燃えてなくなっただ」

「そうなんだけどさ、それが言い辛いんだろ!」

「事実は変わらねーからな。…それより移動するなら急いだ方が良い」

「え?」

「どうやったのか分からねーが川平が細工したお陰で、あんな戦いがあったのに、普通の奴には見られてねーみてーだ」



だが流石にこのまま止まるのは拙い。騒ぎになる前に一刻も速く此処を離れなければ…。それに、真6弔花がまた来る可能性だってあるのだから。



「よし、此処から移動するぞ。動けるか?」

「拙者は…何とか」

「オレもだ――っっ」

「お兄ちゃん!!」



先程の戦闘で無理をし過ぎたのだろう。傷口を押さえながら顔を歪める笹川さんに、妹の京子さんが不安げに寄り添う。

他にもメローネ基地突入後から体調の戻らないラルさんや、重傷の入江さんなど。全員を連れての移動には限度があった。



「あまり遠くへは行けそうにありませんね」

「そう、ですよね。何処に移動したら…」



解決策を見出せず、焦りの色が沢田さんの顔に見え始めた、その時だ。



「沢田さん、名前様。――森へ行きましょう」



大空の助言


(私達を導く、ユニちゃんの声が響いたのは…)


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