「てめー都合のいい時だけ起きてくんじゃね!!」
獄寺が慌ててランボを抱き上げる。その脇を笑顔で通り抜け、山本達はアジトへ帰還して行った。
山本達を見送り、開け放たれた引き戸を綱吉が閉めようとした時の事だ。
「ん?」
妙な違和感を感じて、綱吉は首を傾げた。
「ツナ、何ボヤっとしてんだ。この先どうするか、話し合うぞ」
「わ、分かった」
リボーンに促され、綱吉はピシャと扉を閉める。
(気の所為か)
自分にそう言い聞かせ、アジトに向かった山本と連絡を取る事にした綱吉。無事、入れそうだと言う事が分かり一安心だ。
その事を仲間に伝える為、口を開いた綱吉だったが、緊張感なく室内をバタバタ走り回るランボの姿にムと顔をしかめた。
「煩いな、ランボ!!」
「だってランボさん騒ぎたいお年頃何だもんね」
「ランボちゃん。ハルと遊びましょうか♪」
見兼ねたハルが、ひょいとランボを抱き上げる。
普段のランボなら、何をして遊ぶかで、友人のイーピンを交えて大はしゃぎをしていた事だろう。
――しかし、今日は何時もと違っていたのだ。
「…やだプ〜」
そう言ってハルの腕から抜け出すと、近くのソファに腰掛けていたユニの元へランボは駆け寄る。
「ユニー、遊んでー」
「おいこら!ユニを困らせるな――って、あ?」
そこで綱吉はユニの異変に気付いた。
「ユニ?顔色が悪いぞ?どうかしたのか?」
「ツナくん、それがユニちゃんだけじゃないの。クロームちゃんも何だか具合が悪そうで…」
京子に促されクロームに視線を向けると、確かにユニと同様、クロームも真っ青な顔をしていた。
心配そうに顔を覗き込もうとする綱吉に、クロームが囁く。「違う」と。そして、そんなクロームに同意するように、ユニがこう洩らした。近くに何かがいます…と。
「敵か!?」
綱吉達の間に、一気に緊張が走る。
「戦闘配置につけ!!」
「出入口を固めろ!」
「はい!!」
獄寺、了平、バジルの三人が武器を片手に、引き戸の前へと立ち塞がる。
「ザクロが戻って来たのかも!?」
「考えられるな…」
「…違います……近い。もっと……近くに…」
苦しげに囁くユニの言葉に、綱吉が「近く?」と首を傾げた時だった。
「ボス!牛の子…!!」
クロームが声を上げ、促されるままにランボを見た瞬間、綱吉はひゅっと息を飲んだ。何故なら、ランボの身体が消えかかっていたのだ。そう、まるで“霧のように”…。
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