「締め上げよう」
ギギギギギッ。
雲雀さんの言葉に共鳴するように、デイジーの全身を覆った手錠が、彼の身体に食い込んで行く。
「し、締まるぅ!!!!き、聞いてない!白蘭様に聞いてないよ!!手錠がこんな風になるなんてっっ」
悲痛な声を上げながら、白蘭に助けを請(こ)うデイジー。……だが、そんな願いが届く筈もなく、デイジーは意識を手放し、その場に倒れ込んだ。
「…思ったより情けないね。君が死にたくても死ねないのは、晴の活性の炎が体内を巡っているからだろ?……“これ”は風紀委員が没収する」
そう言って、デイジーの傍に歩み寄った雲雀さんが、彼の指からマーレリングを抜き取り、回収。
「リングをとっちまえば、真6弔花と言えど、ただの人間も同然だ!」
「やりましたね恭さん」
「さすが委員長!!」
瞬間、辺りから一斉に歓喜の声が上がった。
嬉しさの余り、私は安堵の涙を溢れさせる。
「デイジーの間違いは、校舎を壊し、名前を悲しませた事だ。それで恭弥に火をつけちまった」
その涙を拭いつつディーノさんが空を見上げた。
「穏やかだと思えば忽ち荒々しい積乱雲になる」
気まぐれな 雲
(雲は気まぐれだって事を、覚えて置くんだな)
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