「…君達には制裁を与えなきゃね」
そう呟きながら、地面に倒れるディーノさんを雲雀さんは蹴り飛ばす。
「ディーノさん!!」
「恭さん、何て事を!」
こちらに飛ばされたディーノさんに、私は慌てて駆け寄り、草壁さんは非常な上司に声を荒げた。
けれど、当人であるディーノさんは「へへ…」と苦笑いを浮かべていて。
「借りが出来ちまった」
「借り…ですか?」
ディーノさんの頭を膝に乗せ、私は首を傾げる。
「…助けたのさ。あいつなりのやり方でな…」
「雲雀さんのやり方」
「嗚呼。やっぱあいつにも、“初代守護者に似てるトコ”……あるな」
「!初代ボンゴレ、雲の守護者にですか!!?」
「嗚呼」
初代雲の守護者は、ある国の秘密諜報部のトップだったが、誰にも迎合する事はなく、一人でいる事を好み、仲間と足並みを揃える事はなかった。
だが一度ボンゴレT世の正義と己の正義が重なった時には、誰よりも多くの敵を倒し、誰よりも味方に優しかったと言う。
「そして、奴は何よりも歌姫が傷つき・悲しむ事を嫌って居たそうだ。恭弥と、同じようにな…」
私の頬にそっと手を伸ばし、ディーノさんが優しく触れて来る。
その手に自分の手を重ねつつ、私は一人で敵に立ち向かう、10代目雲の守護者の横顔を見つめた。
「…行くよ、ロール」
――“形態変化”
雲雀さんの合図と共に、雲ハリネズミが眩い光りを放ち出す。そして、その姿を変えながら、雲雀さんの元へと降りて行き、彼の手元に収まって。
「あれが雲雀さんの?」
「そう。あれが恭弥のボンゴレ匣。何者にも囚われず、我が道を行く浮き雲と謳(うた)われた…」
アラウディの手錠
(どうしてかな?貴女の顔が悲痛に歪むと、ムカツキが収まらないんだ)
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