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125.アラウディの手錠 ***


本物の攻撃と言う証拠。

『奥義』と言うだけの事はあり、その技には一切の隙がなく、回避するのは不可能だと思われた。

しかし、又してもデイジーは、私達の予想を裏切ったのだ。それも、信じられないような方法で。



「上下右右下前左右下右上下左左右下左下……」



何と、彼は迫り来る全ての攻撃を紙一重で交わしていたのだ。それは反射神経のレベルではない。
まるで、既にディーノさんの攻撃を見切っているかのような回避の仕方。



『――やっぱり今の、知ってるよ』



不意に蘇(よみがえ)る記憶。まさか、本当に見抜かれていたの!?でも、そんな事、出来る訳が…。





『名前チャン』






ハッとした。一人だけ思い当たる人物がいるではないか。不可能を可能に出来る“あの男が”!

全ての元凶――白蘭。彼が他のパラレルワールドで、既にディーノさんの攻略法を取得し、それをデイジーに教えているとすれば?今の状況も、そしてスクアーロさんの事も、全て納得が行く。



「ディーノさん!!!!」



ならば、このまま戦うのは危険だ。咄嗟に声を上げる私。けれど、この時には全てが手遅れで。


ブシャッ


ディーノさんのふところに飛び込んだデイジーの腕が、彼の脇腹を貫く。



「ぐっ」

「おいボス!!」

「ディーノさん!」



両脇の二人が何かを叫んでいたけれど、私は声を出す事も出来なかった。



「さっさと名前様を渡せば良かったんだ。そうすれば、痛い思いもしなくて済んだのに…」

「ぐあ!!」

「もっと痛くしないと、ユニ様の居場所、吐かないよね?彼女の居場所も吐いて貰わなきゃ…」



膝を折るディーノさんに、更なる傷を負わせようとするデイジー。止めて、もう傷つけないで!!



「止めてええええ!!」



私が叫んだのと、バキッ…と鈍い音が響いたのは、ほぼ同時の出来事。


ドゴオッ


続いて何かが校舎に激突し、ガラガラと壁が崩れ落ちる。見ると、そこには、外壁にのめり込んだ、デイジーの姿が!!



「ねえ君達。並中で暴れるの、止めてくれる?」



驚き瞳を見開く私の視界に、ヒラヒラと風に靡く学生服が目に入った。それは紛れもなく、トンファーを構え、颯爽と佇む、雲雀恭弥さんのモノ。


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