[携帯モード] [URL送信]
125.アラウディの手錠 **


「仲間と話してるよね?ユニ様はそこに居るの」



デイジーの纏(まと)う炎が更に大きさを増し、辺りの空気を震わせる。



「ユニ様は何処だよ!」



直後、肩から放出される晴の炎が機動力となり、凄まじい速さでディーノさんに向かって行って。



「こうなりゃ全力で行くぜ!スクーデリア!!」



その攻撃を回避しながら、ディーノさんも再度、自身の匣を開匣する。

再び優美な姿を見せてくれた天馬には、先程までは見受けられなかった『炎の翼』が生えており、その翼を武器とし、天馬はデイジーに突進した。



「天馬超翔(ペガソ・スーペル・サルト・ヴォランテ)!!!」

「ぼばっ」



両者が交差した瞬間、天馬の『炎の翼』により、デイジーの左腕が切断。



「悪く思うなよ」



自身の技が決まり、ディーノさんは笑みを浮かべた。この時、誰もが彼の勝利を確信していた。

ディーノさんと対峙する、デイジーを除いては。



「――やっぱり今の、知ってるよ」



そう言って不適な笑みを浮かべた直後、スクーデリアに異変が起こる。切り落とした筈のデイジーの左腕が、スクーデリアに巻き付いていたのだ。



(大空の炎に触れたのに、石化しない!!?)



それだけでも驚きだと言うのに、この後、更に驚く出来事が。落下する天馬に目を奪われた直後、切断されたデイジーの左腕が、目にも止まらぬ速さで再生していたのだ。

幾ら晴の活性が作用しているとは言え、これは異常。私は恐怖を感じた。



「おもしれぇ、来い!」



そんな状況下でも、ディーノさんは冷静さを失わず、構えた鞭(むち)に炎を纏(まと)わせ、体技での戦闘に変更する。



「個人的には匣バトルより、肉弾戦の方が好きだぜ」

「僕チンも」



ディーノさんはどうする気なの?私は不安で溜まらなかった。そんな私にロマーリオさんが言う。



「安心しな、姫さん。ボスは奥義でシメる気だ」



え?と思った時には、それは既に始まっていた。
ビュア!と言う風を切る音に、私が振り返ると、



「光速天翔(サルト・ヴォランテ・ヴェローチェ・コメ・ルーチェ)!!」



ディーノさんの振った鞭が幾重にも増殖して見えたのだ。勿論、見えるだけでなく、鞭が地面に当たる度、凄まじい勢いで、土を削り取っている。


[←][→]

あきゅろす。
無料HPエムペ!