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125.アラウディの手錠


胸に埋め込まれた異端の匣へ炎が注ぎ込まれた瞬間、並中全体を、凄まじい力が覆い尽くした。

それと同時にデイジーの周囲で暴風が吹き荒れ、私達は動く事も出来ずに、その場に立ち尽くす。



「修羅開匣だと!?」

「い、一体何が出て来るんだ!??」



吹き荒れる強風に耐えながら、私達は必死に前方を睨みつけた。すると、渦巻く砂煙の中から、晴の炎が浮かび上がって。



「歌姫を渡して貰うよ」



直後、私達の前にデイジーが姿を現す。けれど、その姿に一同は絶句。

何故なら、彼の手足はウロコで覆われ、それはまるで爬虫類のような姿。剥き出しになった肩からは晴の炎が放出し、胸に埋め込まれていた匣は、ミルフィオーレの掌紋へと姿を変えていたのだ。



「こいつは驚いたぜ。確かにその形じゃ、ある意味人間越えてるかもな」

「修羅開匣は、身体に埋め込まれた匣の開匣によって、肉体そのものを最終兵器に変えるんだよ」



肉体を兵器に!耳を疑いたくなるような非道な話に、私は顔をしかめる。

――と、その時。耳に装着した通信機から、誰かの声が響いて来て…。



『名前さん!!』

「!沢田さんですか!?」



私は歓喜の声を上げる。



『うん。良かった。無事だったんですね!敵は並中に現れたんですか!?』

「はい。目の前に真6弔花のデイジーが居ます」



――それも、人とは言い難い、異端の姿をして。



「こちらの事より、皆さんの方は?ユニちゃんは無事なのでしょうか?」

『は、はい!…ただ、ザクロにアジトがヤられて、オレ達を逃がす為に残ったスクアーロが―…』



それを聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった。立って居る事もままならず、よろける私を草壁さんが咄嗟に支えてくれる。



「そ、んな…スクアーロ……さん、が――」



ガクガクと震える声。話せる状態ではない私を見兼ね、ディーノさんが代わりに通信を繋ぐ。

それによると、現在、彼等は5丁目の『川平不動産』と言う場所に避難しているとの事だった。



『あの、そっちは――』



こちらの状況についても、沢田さんが訊ねようとした時。それを遮るように、ディーノさんが「待て!!」と声を荒げる。

それは、目の前に佇む敵の様子が一変したから。


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あきゅろす。
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