自由が効かずに、まるで自分の身体でなくなるような感覚。この感覚には、微かだが覚えがある。
あれは何時の事だっただろうか。微かな記憶を手繰り寄せようと、私が瞑想に入り掛けたその時。
「…君達は何度僕に同じ台詞を言わせる気だい?……いい加減にしなよ」
強いリングが灯る気配。
振り返ると、そこにはボンゴレリングに炎を灯した雲雀さんの姿が…。
「その人は並中の所有物だ。誰であろうと、手を出す者は僕が許さない」
彼はボンゴレ匣に炎を注ぎ込むと、素早く開匣。
中から飛び出した雲ハリネズミが、物凄い勢いで針を増殖させて行く。それを回避するのに、真6弔花は手一杯のようだ。
その隙を逃すまいと自分の匣兵器に乗るよう、私達を促すスクアーロさん。全員が乗った事を確認するなり、雨鮫は猛スピードで上空を泳ぎ出す。
暫くすると、前方に基地ユニットが見えて来て、
「名前さん!獄寺君達と一緒だったんだね!」
急に姿が見えなくなった私を心配してくれていたらしい、沢田さんとクロームさんが、ホッと安堵の表情を浮かべていた。
――が、次の瞬間、クロームさんが私達の後方を指さし、声を上げる。
「ボス!」
振り返ると、そこには雲雀さんの刺の足止めを掻い潜り、執念で追いかけて来る白蘭の姿が!
しかも、彼の瞳を視界に入れた途端、私の身体に、再び異変が起こる。
(身体が、動かない)
先程までのように重いではなく、完全に動かないのだ。そこで私は思い出す。あの時と同じだと。
そう。初めて白蘭と会った、あの公園での状況と同じなのだ、と―…。
しかし、それに気付いた時には既に手遅れで、動く匣兵器の上、バランスを保てなくなった私は空中へと投げ出される。
「「名前っっ」」
獄寺さんとスクアーロさんが私の名を叫んだ。
雲雀さんが咄嗟に腕を伸ばすが、間に合わない。
「誰が相手だろうと僕を止める事は出来ないよ」
後方から迫る白蘭。このままでは地面に落ちるよりも先に、彼に捕まってしまう!最悪の状況が私の頭を過ぎったその時。
「クフフフフ。それはどうでしょうね」
覚えのある懐かしい気配を感じた。同時に、私の身体がふわりと浮いて、誰かに抱き上げられる。
「――僕に限って」
見上げた先に見えた、宝石のようなオッドアイに、私は涙を溢れさせた。
やっと、やっと会えた。
待ち望んだ再会
(――骸さん)
[←][→]