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116.未来の真相 ***


学生書を見られて心臓が跳ねた。慌てた僕は直ぐさま学生書を取り返し、その場から逃げ出した。




◇ ◇ ◇


「――この後、僕は暫くして過去へ戻ったんだ」



入江さんの話には、ただただ驚かされるばかり。
まさか過去の入江さんと、未来の私や白蘭が既に出会っていただ何て…。



「話自体は至って普通のタイムトラベルだな」

「嗚呼、それだけだ。あの時は白蘭さんもまだ“ただの人”だったしね」



入江さんの言葉に私は疑問を覚える。ただの人とはどう言う意味だろう。



「実際過去に戻った僕は、白蘭さんの事などすっかり忘れてタイムトラベルをした事、自体に興奮したよ。……でも、どうしても名前さんの事だけは忘れられなかった」

「え?」

「可笑しいでしょう。名前も知らない、ほんの数分しか話さなかった人に、もう一度、会いたいと思ってしまうなんて…」



――けれど、会いたいと言う気持ちは日増しに強くなって。そして、当時の僕は決意したんだ。



「貴女と出会えるよう、未来を変えようって」

「未来を…変える?」

「“過去を変えれば、未来も変わる”。未来は一つじゃないんですよ」

「パラレルワールドだな」



突如響いたその声に背後を振り返ると、そこにはこちらに向かって走り寄る仲間達の姿があって。

入江さんの傷を見るなりリボーンさんの表情が一変。酷い状態だという事が嫌でも伝わって来た。



「了平、晴れゴテを開匣しろ」

「おう!!!」

「僕の事なんかより、名前さんの左腕を…」

「名字の腕も後でちゃんと治してやる!だが今はお前の方が先決だ!!」



そう言って傷口に治療を施(ほどこ)す笹川さんに、私は安堵の息を零す。
これで入江さんの容態が悪くなる事はない筈だ。
スパナさんの方もビアンキさん達が治療に向かってくれたと言う事だし。



「それで、パラレルワールドとは何なのですか」



気を取り直し、率直な疑問をぶつける私にリボーンさんが教えてくれたのは自分の耳を疑うような、とても信じがたい話。

パラレルワールドとは、時々の選択によって、世界が枝分かれし、様々なパターンの未来が存在するという考え方の事。



「つまり、もしもの世界が実際にあるって事?」

「そうだ。もしもの数だけな」



何百・何千・何万通りもある『もしもの未来』。


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