そんなある日、突然、ランボさんが家に飛び込んで来て。その時、ランボさんを助けたお礼にと、ボビーノファミリーから木の箱を貰ったんだ。
でも貰う訳にはいかないから、それを返そうとしたんだけど、色々あって箱を返しそびれてね。僕がずっと預かっていた。
箱の中にはランボさん宛ての荷物も入っていて。その中の一つが『10年バズーカの弾』だった。
でも、それが何なのか知らずに、誤って足に落としてしまったんだ。
そして気付いた時、僕はアメリカの工科系の大学に居た。――10年後の自分と入れ替わってね。
最初は訳が分からなかったよ。けれど、目の前の机に置かれた自分の学生書と、10年後の日付の入った新聞を見て悟った。
――自分は『タイムトラベル』をしたのだと…。
でも、だからと言って直ぐに受け入れられる訳がない。パニックに陥った僕は荷物を持って、その場を飛び出したんだ。
当てもなく走り続け、漸(ようや)く外に出る事が出来た時、僕はそこで一生忘れる事のない、運命の出会いを果たすんだ。
ドン!
「うわあ!!!」
「ご、ごめんなさい!!」
その時僕がぶつかった人こそ、その世界の…貴女だ。――名前さん。
貴女はその大学に通う友人の誘いで、日本から遊びに来ていたらしくて。
「大丈夫ですか!?……て、日本人の、男の子?」
子供の僕を見るなり、それはそれは驚いた顔をしていたよ。でも、直ぐに笑顔を浮かべて微笑みかけてくれたくれたんだ。
「怪我はないですか?」
「は、はい!!」
「そう。良かった。でも念の為に、これを…」
(何?絆創膏?)
「女の子用で悪いんだけれど、今はこれしか持っていなくて。擦りむいた所があったら使ってね」
そう言って僕に絆創膏を手渡すと、貴女は颯爽と去って行った。長い黒髪を靡(なびか)せながら。
あの時の事は今でも忘れられない。貴女の笑顔も、優しさも、ずっと僕の心に焼き付いているよ。
でもどんな因果だろうね。運命の出会いは一つだけでは終わらなかった。
そう。名前さんと出会った、その直ぐ後に、
「この学生書は君のかい?」
僕はその世界の白蘭さんとも会ってしまうんだ。
「その年でもう此処に来てる何て、かなり優秀だね、入江クン……ん?…、の、弟クンかな?」
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