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02.目覚めた 力 ***

≪side リボーン≫
部屋を出た後、リボーンは前を歩く綱吉に 静かに声を掛ける。

「…どういう事だ」
「何が?」
「とぼけんな。さっきの名前の態度だ」

先程名前は綱吉に感謝の言葉を伝えようとしていた。
しかし彼らの窮地を救ったのは“名前本人”だと綱吉からは聴かされていたからだ。
それなのに、まるで何も覚えていないようなあの態度。
リボーンは一つの可能性を口にする。

「まさか……”無意識“か?」

綱吉は静かに頷いた。

「──というか、俺自身あの時の記憶が曖昧なんだ。
 おそらく彼女が何かした、んだとと思う」

あの場に居たのは綱吉と名前、そして対立する組織の人間が数名。
他に人の気配は感じなかったし、何より人目を避ける為に奴らをあの場に誘い出したのだ。
もし第三者の介入があったのならそれは味方の可能性が高く、その場で姿を現さなかったのは不自然。
となると、やはり綱吉か名前のどちらかが“何か“をした事になる。
自分でない事は綱吉自身が一番良く解っているから、残る答えは一つしかない。

「………」

一つしかない、筈なのに──。
綱吉の表情は一向に晴れる事はなかった。

「これからどうするつもりだ」

戸惑いを見せる綱吉に、リボーンは問い掛ける。

「取り敢えず様子を見るつもり。もし彼女が“そう“なら周りの人間が何も話をしてないのは不自然だ。
 秘密にしなければならない何かがあるのか、それとも──本当に彼女が無関係だからか…」

そう自分で口にしておきながら、綱吉の表情が更に沈んだ。
ここまで落胆する彼の姿は一体いつ振りだろうか。
しかし、それは無理もない事だとリボーンは考える。
彼がこの日をどれだけ待ちわびていたのか、リボーンは痛いほど良く知っていたから。

「9代目の話じゃ、アイツが有力候補だったんだろ?」

思い沈黙が2人の間に流れる。

「──でもさ、リボーン」

不意に前を歩く綱吉がピタリと足を止めた。

「俺は9代目と、あの時感じた自分の直感を信じたいんだ」

刹那、振り返った彼の瞳は──強い輝きを宿したままだった。



目覚めた 力
(名前がオレ達が探し求めた歌姫だって、俺は信じたい)


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あきゅろす。
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