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114.力の暴走 **


「よく、やったぞ、綱吉…君。山本君と…ターゲットを…っ、倒すんだ」

『駄目だ!!仲間を見捨てる訳にはいかない!オレはそっちに戻る!!』

「……な、にを…言って…るんだ……綱吉君。敵のターゲットを倒すのが…最優先、だ…っっ」



頑なに援軍を断る入江さんだったが、それは沢田さんも同じで…。
彼は入江さんの指示に首を縦には振らず、それ所か、一人で交戦中の山本さんに連絡を入れ、



『山本、直ぐ戻る!それまで敵ターゲットを!!』

『行ってくれツナ!標的はオレ一人で十分だっ』



二人の会話を聞きながら、涙が溢れそうになる。
この絆こそが、私の知る、ボンゴレファミリー。



「ハハン。ボンゴレ]世が作戦変更で引き返して来ますか。ですが“時既に遅し”……ですよ」

「そんな事ありません」



そう言って桔梗の前に立ちはだかる私。そんな私を彼は少し驚いた顔で見つめ、直後、一人で逃げる入江さんの姿を見た途端、まるで馬鹿にしたような見下した顔をした。



「貴女を置いて一人で逃げ出すなど、情けない男ですね。入江正一は」

「いいえ。私が置いて行って下さいと頼んだの」

「ほう。それは何故?」

「沢田さんが援軍に駆けつけ、山本さんが敵ターゲットを倒すまでの間、私が時間を稼ぐと、彼にそう言ったからです」



桔梗から目を反らす事なく、私はそう言い切る。



「確かに歌姫の能力である守りの歌のシールドならば、私とて破る事は容易ではありません。ですがそれは貴女が“万全の状態ならば”の話です」

「!!」



あっと思った時には遅かった。目の前には、既に桔梗の姿があって…。
しかも、彼が腕を伸ばし、グッと左肩を捕んだ瞬間、これまで感じた事のない痛みが左肩に走り、咄嗟に悲鳴を上げる。



「!!!!あぁあっっ」

「やはり肩を脱臼しているか、骨にヒビが入っているようですね。貴女が中に居ると分かっていれば、私も手荒な方法は避けていたのですが…」



敵の言葉など信じるものか。私は痛みを堪えつつ、必死に睨みつける。

しかし私が睨んだ所で相手に効果がある筈もなく、むしろ、何処か嬉しそうな顔をされて、更に腹が立ってしまった位だ。



「貴女は本当に魅力的な方ですね。貴女が白蘭様のモノでなければ私が頂きたかった位ですよ」

「だ、れが…貴方…の、ものに、なんて…っ」

「…本当に可愛らしい方だ。ですがお喋りは此処までです。貴女の友人の命、奪わせて頂きます」


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あきゅろす。
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