それはそれは大きな入江さんの声が聞こえて来た。勿論、聞こえて来たのはそれだけではない。
『てンめー、うるっせーぞ、入江!!!!』
『正一、歌姫が無事で安心したのは分かるけど、声は落とした方が良い』
獄寺さんとスパナさんの声もだ。久々に聞く仲間達の声に私は安堵する。
『…大丈夫か、名前』
そして最後は、先程とは打って変わって落ち着いた声の沢田さん。彼は既に超(ハイパー)化し、ターゲットに向かって行動を開始しているようだ。
ならばこちらものんびりしている場合ではない。
「山本さん、私は大丈夫ですから、ターゲットの元に向かって下さい」
「で、でもよ…」
『心配ないよ山本君。名前さんには、ひとまず僕達の基地ユニットに非難して貰うつもりだから』
「基地ユニットに?」
『うん。彼女に渡した通信機にはGPS機能が搭載されていて、名前さんの位置はこちらで確認できる。その機能を活かせば、ユニットまで案内する事も出来るからね』
確かにこのままフィールド内で佇んで居るよりは、入江さん達と基地ユニットに居た方が安心だ。
それには山本さんも納得したようで、小刀の炎の噴射を弱めると、ゆっくり降下し、そして私の身体からそっと腕を離す。
「入江達が監視してるなら平気だと思うけど、周りには気をつけろよ」
「はい!山本さんも」
「嗚呼!!じゃ、後でな」
そう言って颯爽と飛び去る山本さんの姿を見送り、私は再び走り出した。
仲間の待つ、ボンゴレの基地ユニットに向けて。
◇ ◇ ◇
通信機から響く入江さんの指示を頼りに、どうにかボンゴレの基地ユニットに辿り着いた私。
乱れた息を整えようと大きく息を吸い込んだ時、ユニットの入り口部分が突然開いて、中から入江さんが飛び出して来た。
「名前さん!!」
「入江さん!大丈夫なのですか外に出たりして」
「今の所は…。それより、僕は名前さんが無事に此処まで辿り着けるか、そっちの方が心配で…」
そう洩らしつつ、お腹を押さえる入江さんに、笑みが零れそうになった。
けれど、その胸に明々と灯るターゲットマーカーを目にして、私の顔は一瞬で強ばってしまう。
(本当にずっと炎を灯し続けたままなのですね)
[←][→]