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110.リベンジ **


「大丈夫だ。そうこなくっちゃ面白くねーって」



カチャリと刀を構え、片目を瞑ってみせる山本さん。そんな山本さんを幻騎士は更に罵倒した。



「減らず口の青二才が!剣撃と幻海牛の二重攻撃を食らえぇええっっ」



幻騎士の身体から、凄まじい炎が放出される。それを見た山本さんは私を振り返り、こう告げた。



「此処は危ねーからアンタは何処かに隠れてろ」

「はい!!」

「それから次郎、お前もだ。早く匣の中に――」



『戻れ』とボンゴレ匣を翳(かざ)した山本さんだったが、次郎くんはフルフルと首を振り、私の足に擦り寄って来たの。

それを見た山本さんは一瞬だけ驚いた顔をして、でも直ぐに理由を悟る。



「ハハ。そっか。そうだよな。お前も名字を守る一人の騎士だもんな♪」

『ワン!』

「よっし!!次郎、名字の事は頼んだぜ!」

『ワン!!』



次郎くんが私を誘導するかのように後方へと走り出す。私もその後を追いかけ、走り出した刹那、



「幻剣舞(ダンツァ・スペットロ・スパダ)!!」



幻騎士が先制攻撃を仕掛けて来た。それも、剣撃とミサイルと言うかなり強力な二重攻撃をだ。


ドドドドーンッ。


けたたましい爆音が響いて私が振り返ると――、



「(時雨蒼燕流・守式四の型…――五風十雨)」



山本さんの姿が消える。いや違う。物凄いスピードで剣撃とミサイルの攻撃を交わしていたのだ。



「全部交わしたぜ!!」

「甘いわっ、更に10倍だぁあ!!究極幻剣舞!!!!」



己の分身を10に増やし、更なる剣撃を放つ幻騎士。その威力は凄まじく、雷の硬化により、通常の20倍の強度を持つビルの壁面にヒビを入れる程。

しかも、攻撃が10倍に増えた事により、こちらまで届かなかった幻騎士の剣撃が迫って来て――。



『ワン!!』



私を守るように次郎くんが前に出たが、私はその更に前へと歩み出て両手を胸の前に翳(かざ)す。



(守りの歌、発動!!)



旋律を奏でると同時に、眩い光の壁が私達の前に出現。間一髪で幻騎士の攻撃を防ぐ事が出来た。

次郎くんにも怪我がない事を確認し、再び山本さんへと視線を戻す私。

彼もこちらの様子を気にしていたらしく、私が「大丈夫です」と小さく唇を動かすと、安堵したように微笑みを浮かべる。


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