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109.朝利雨月の変則四刀 **


(この感じ。前に雲雀さんが戦った時と同じ…)



恐らくこれは目には見えない幻海牛のミサイル。

咄嗟に『避けて!!』と叫ぼうとした私だったが、それよりも先に山本さんは行動。クルクルッと器用に空中で小刀を回し、グッと柄を握り締めた。

瞬間、右手中指に填(は)めた雨のボンゴレリングが輝き、柄の先から雨の炎が吹き出す。そして、その噴射を利用して、彼は後方へと回避。瞬く間に4本目の刀……時雨金時を取り返したのだ。



(凄い!!)



感心したのも束の間。山本さんは、小刀を逆手に持ち変えると、もう1本の小刀と合わせ、更に激しい炎を噴射させる。

威力の上がった炎により、山本さんは更に後方へと飛び退き、そして、空中で停止した後、再び炎出力をあげて、幻騎士に向かって迫って行った。

――が、彼が向かったのは幻騎士の元ではなく、


ザシュッ!!!


宙吊りにされたままの、私の元。山本さんの刀により、身体に巻き付いていた植物の蔓(つる)は切断。シュルシュルと解けていった。しかし、私が捕らわれていたのは、地上何メートルもの高み。

支えを失った身体は、そのまま一直線に地面へ。



(叩きつけられる!!)



そう思った直後、フワリと身体が浮いた気がして、私は顔を上げた。見上げた先には、私を受け止め、何時も通りの笑顔を浮かべる山本さんが。



「名字の奪還成功だな」

「山本さん!!」



嬉しさの余り、私は山本さんの首にしがみつく。



「アンタにこうされるのは悪くねーけど、すげー顔でこっち睨んでる奴がいるから、また後でな」



促されるまま上空に視線を向ければ、そこには苛立たしげに歯を食いしばる幻騎士の姿があった。



「宣言通り、アンタから奪い返したぜ、幻騎士」

「くっ」



再び幻騎士の瞳が輝き、直後、私達の周りを幻覚の巨木が取り囲む。あっという間に四方を囲まれ、幻騎士も姿を消した。

焦る私とは裏腹に、山本さんは落ち着いていて。再度ボンゴレリングに炎を灯すと、何故か私の腕を取り、自分の首に回すよう言い聞かせたのだ。



「振り落とさねー自信はあるけど、アンタもしっかり捕まってろよ!!」



そして私を背負った状態のまま、刀の機動力を使って、見えない幻海牛の攻撃を交わし始める。


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あきゅろす。
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