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108.因縁の対決 ***


ぎゅうっと両手を握り締め、勢い良く背後を振り返った私。けれど、視線の先に居た人物を見て、大きく瞳を見開いた。だって、そこに居たのは、





「何…で、アンタが…」





顔を青く染めた、山本武さんだったから―…。



「山本さん!!」



この時の私は仲間に会えた喜びのあまり、どうして彼がそんな顔をしていたのか考えもしなくて。

でもこの後直ぐに、思い知らされる事になる。



「そこから離れろ!!!」



珍しく声を張り上げる山本さんに、私が「え?」と首を傾げた刹那。再び背後で僅かな物音が…。


パリン。


ガラスの割れたその音に、私が後ろを振り返ろうとした瞬間、シュルルッと植物の蔓(つる)のようなものが身体に巻き付いて、気付けば私は上空へと吊り上げられていた。



「きゃああああ!!」

「名字っっ」



あっという間の出来事に、一体何が起きたのか理解する事も出来なかった。ただ理解できたのは、自分が今、宙吊りになっているという事くらい。



「捕らえましたぞ」



混乱する私の耳に、第三者の声が届く。直後、山本さんの左足に同じような蔓が巻き付き、彼まで動きを封じられてしまった。しかも、手にした刀までもが弾き飛ばされ、



「!!…やっべっ」



弾かれた刀を咄嗟に視線で追う山本さん。しかし次の瞬間、先の尖った数本の蔓達が山本さんめがけて襲いかかったのだ。



「山本さああん」



私は咄嗟に悲鳴を上げる。おそるおそる彼の立っていた場所に視線を向けると、そこには間一髪で全ての攻撃を交わした山本さんの姿があった。



「良く避けた」



しかし、安堵したのも束の間。私を宙吊りにしている蔓の本体。その巨木の前に、霧の如く現れた人影を目にして、山本さんの顔付きが一変する。



「お前は猿とか言う」

「しかし皮肉なものだ。あの時は九死に一生を得ながら、またしても俺に葬られるのだな山本武」

「え?またしても?」

「これなら分かるか!!」



猿の全身が霧の炎で包み込まれ、その霧が晴れた直後、私達の目に飛び込んで来たのは――、





「「幻騎士!!?」」




変わり果てた元・6弔花。幻騎士の姿だった。



因縁の対決


(どうして…貴方が!?)


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