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108.因縁の対決 **


私に出来る事。それは“こちらから”ボンゴレサイドに接触する事だ。

私から接触してはいけないと言うルールはなかった筈だし、それに、これが鬼ごっこだと言うのなら、こちらから鬼を探し出して、自分から捕まえて貰いに行きば良い!!



(大人しく捕まるだけ何て、そんなの御免です)




◇ ◇ ◇


隠れては走り、隠れては走りを何度か繰り返した時の事だ。遠くの方で『ドーン』と言うけたたましい音が鳴り響いて、私はピタリと足を止めた。



(今のは戦闘音?もう誰か戦っているの!!)



音のした方角を仰ぎ見れば、僅(わず)かながら、砂煙のようなものが上がっているのが見える。



(…あの方角に行けばボンゴレの誰かに会える)



しかし、あちらは戦闘中。私が行けば、きっと邪魔にしかならないだろう。それに私が居ては戦闘もやり辛いだろうし…。



(でもこれで居場所の手掛かりは掴みました)



何の手掛かりもなく、隠れ、走り回っていた先程までとは心情が違う。

仲間の気配を感じられる。それだけで、もっともっと頑張れる気がした。

勿論、向こうは戦闘中で危険な目にあっているかも知れない。だからこんな風に思うのは不謹慎なのだろうけど、私は皆の強さを信じているもの。



(大丈夫。あの戦いは必ずボンゴレが勝ちます)



よし。兎に角、邪魔にならないような所まで近付いてみよう。運の良い事に、私には敵が感じ取れるような激しい殺気を纏(まと)う事は出来ないから、近付き過ぎなければ気付かれる事もない筈。

慎重に辺りの様子を窺い、再び大通りへ飛び出した……その瞬間だった。

背後から僅かに聞き取れる程度の、小さな小さな物音を感じて、私は弾かれたように振り返る。

敵――ではなかった。何だろう?何かが空中に浮いている。あれはカプセル?しかも中に入っているのは晴の死ぬ気の炎。



(どうして晴の死ぬ気の炎が、こんな所に…)



そうこうする内、カプセルは次第に高度を下げて私の側まで降りて来た。

敵と味方。共にターゲットとなっているのは“晴属性”。つまり、これがどちらのものか今の私には判断が出来ない。判断が出来ない以上、このまま傍に居るのは危険だ。

私はカプセルをじっと見つめた状態のまま、少しづつ後ろへ後ずさった。


コツリ。


――と、その時。背後に何者かの気配を感じたのだ。私は足を止め、今度こそ身体を硬直させる。


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