観覧席から参加者への通信は禁止とされ、観覧席へは、各種に設置されたカメラでの映像・審判であるチェルベッロ、それと見方からの音声のみ。
「尚、観覧席は防御壁でガードされておりますが、観覧席への攻撃は反則とし、負けとなります」
その言葉に私はホッと胸を撫でおろす。良かった。皆さんが危険にさらされる心配はないみたい。
「また、歌姫様に関しましては参加者と同様、ランダムにフィールド内に転送させて頂きます」
「歌姫様を見つけ、先に捕らえた方に彼女の所有権が与えられる事になります。…宜しいですね」
私は無言で頷く。
「では、3分後に開始します。用意して下さい」
◇ ◇ ◇
沢田さん達とまともに話をさせて貰えないまま、私はチェルベッロの二人と共に、フィールド内の何処かへと転送された。
「先程も言いましたが、3分後に開始です。合図が聞こえ次第、お好きな場所にお逃げ下さい」
「はい」
「それでは、これで…」
チェルベッロが去った後、一人・高層ビルのど真ん中に佇(たたず)む私。
自分の事より何より心配だったのは、胸にターゲットマーカーをつけられた入江さんの事だった。
(無理をされていなければ良いのですが…)
頭を過ぎるのはそんな事ばかり。――かと言って、自分自身の事も全く不安でない訳ではない。
でも、皆さんの事を信じると決めたから―…。だから不安を感じている場合ではないの。私は、私に出来る事をやるだけ。
(何がなんでも、絶対に逃げ切ってみせる!!)
――私を捕まえるのは、
『3分経ちました。それでは……チョイスバトル・スタート!!』
“ボンゴレファミリー”なのだから―…!!
バトル・スタート
(私は……そう信じる)
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