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107.バトル・スタート


“どんな理由”であれ、ターゲットマーカーが消えたら負けだからね。

白蘭の告げた言葉は私の胸に深く突き刺さった。

それと同時に『何としても棄権させなければ』という思いで一杯になる。



(だってこのままでは、入江さんの命が――っ)



けれどそんな私の想いとは裏腹に、彼は…自ら決断を下してしまったの。



「――良いんだ、名前さん。……始めよう」

「正一君!!」

「無理すんなよ!!死んじまうかも知れねーって言われてるじゃねーか!」



入江さんは必死に辞めさせようとする沢田さんと山本さんの言葉を遮り、条件は敵も同じなのだと豪語する。そして、強い眼差しで白蘭を凝視した後、こうも告げたのだ。


――僕は“犠牲心”でやるんじゃない!白蘭さんをこんなにしちゃったのは僕なんだ!!僕が逃げる訳にはいかない!…と。


彼が一体なんの事を言っているのか私達には全く理解できなかった。けれど、白蘭には思い当たる節があるらしく、不適な笑みを浮かべて見せた。



「……へぇ〜、そんな風に考えてたんだ。正チャン。…まあ、良いや」



刹那、辺りが一瞬で暗闇に包まれる。驚き、上空を見上げる私達の目に飛び込んで来たのは――、



「前にも言ったけど、この盛大なチョイスの報酬は、全てのマーレリング・ボンゴレリング・アルコバレーノのおしゃぶり。そして僕が一番欲しいもの…歌姫。即ち、新世界を創造する礎(いしずえ)となるモノ達だよ」



花火で作った73



「まさに“世界の運命を賭けたバトル”のスタート…って訳だね♪」

「随分と派手派手しいオープニング・セレモニーだぜ!ゲスなてめーらにはお似合いだがなっ」

「さっさと始めようぜ」



待ちきれないと言わんばかりに獄寺さんと山本さんが先を急かすが、何故か白蘭は待ったをかける。



「――その前に、公平にジャッジしてくれる審判を紹介しないとね」

「審判?」

「「我々にお任せを!!」」



突如、上空から声が降り注いで、私達は一斉に顔を上げた。見上げた先に見えたのは、メローネ基地で入江さんと一緒にいた、あの二人の女性。



「チェルベッロ!!」



獄寺さんが叫ぶ。



「正一の話じゃ、いつの間にかミルフィオーレにいたらしいな。……一体お前ら何者だ?」


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