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106.ターゲットルール ***


「これで決まったね♪」



ターゲットマークが胸に灯ったのは、ミルフィオーレはデイジー。そして、ボンゴレの標的は…。



「――い…りえ、さん」



入江正一さんだった。



「我々は入江正一を。貴方達はデイジーを先に倒せば勝利という訳です」

「分かり易くて良いじゃねーか。気に入ったぜ」

「…だな♪」



桔梗の説明に、獄寺さんと山本さんが納得したように頷く。だが、シンプルなルールだからこそ奥が深いと言うスパナさんに、入江さんがその通りだと頷き掛けたその時。


    ボウ!!





「!!うわあああっ」





入江さんの胸に付けられたターゲットマークから、晴の炎が溢れ出したのだ。それも大量に!!



「入江さん!!??」



私はガラスケースに貼り付き、彼の名を呼ぶ。



「何なんだ…これはっ」



苦しそうに膝を付いた入江さんに、白蘭は言う。


――それは“ターゲットマーカー”だよ…と。


標的になった者は、胸に自らの炎を灯す事により、他のプレイヤーとの差別化をし、なおかつ、標的となった人物が倒されず、生存している証明にもなると白蘭は続けた。



「待て、白蘭。生命エネルギーである死ぬ気の炎をこんなに垂れ流しちまったら、あっと言う間に、ぶっ倒れちまう。下手すりゃ…死んじまうぞ」



リボーンさんの声が何度も耳に木霊(こだま)する。私は頭が真っ白になって…。気が付けば握り締めた両手の拳をガラスケースに叩きつけていた。



「入江さん!!入江さん!!――白蘭さん、私を此処から出して下さいっっ」

「ダ〜メ♪それに君の力じゃ、そのケースは壊せないよ。怪我をするだけだから止めた方が良い」



此処から出して貰えないのに止められる訳がない!私は必死に白蘭を睨みつけ、再びケースに拳をぶつけた。両手が赤くなるまで、何度も何度も。



「ふふ、そう言う強情な所も好きだな♪…でも無駄だよ。どんなに君に頼まれても、そこから出してはあげないし、正チャンのターゲットマーカーも外してあげないから」



――だって、それがこのバトルの“タイムリミット”になるんだからね。

そう言って穏やかに微笑む白蘭の表情は、既に悪魔のそれを越えていて。



「“どんな理由”であれ、ターゲットマーカーが消えたら負けだからね」



ターゲットルール


(私は初めて、本気で誰かを……怖いと思った)


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