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106.ターゲットルール


「ディーノさん!?」



突如、目の前に現れたディーノさんに、沢田さんは驚愕(きょうがく)の声を上げた。勿論、驚いているのは彼だけではない。何故なら、私達は、この場に転送装置で移動させられて来ているのだ。

装置が作動した時、あの場にディーノさんは居なかった筈。それなのに、どうして彼が此処にいるのかと、疑問に感じるのは至極当然の事だろう。

首を傾げる私に、ディーノさんは笑顔で答える。



「そんな不思議そうな顔するなって、名前。ワープの時に紛れ込んだんだよ。ずっと居たぜ」

「ずっと…ですか?」

「嗚呼。俺は“こいつらの家庭教師”だからな。来ない訳にはいかねーだろ?……それに、お前の事も心配だったしな」



そう告げた後、ディーノさんは雲雀さんの傍に歩み寄ると説得を始めた。



「考えてみろよ。このまま恭弥がチョイスに出れば、ルール違反でボンゴレは失格。名前は本当に白蘭のモノになっちまうんだ。そうなれば、並中の校歌どころか、名前にも二度と会えなくなる」



雲雀さんは左手にトンファーを構えたまま、無言で私に視線を向ける。



「それにツナ達がミルフィオーレに勝てば、その後は、どいつとでも・好きなだけ戦えるぜ?……少しの辛抱じゃねーか」



“誰とでも好きなだけ”

きっと、雲雀さんにとっては、何よりも魅力的な言葉だったのだろう。



「………急いでよ」

「嗚呼。分かった」



あれだけ難航していた説得が、あっさり承諾されてしまったのだから。

雲雀さんの性格を熟知しているディーノさんだからこそ出来る技なのだと思う。彼が一緒に来てくれて本当に助かった。



「ああ〜…。ダリ〜…」



――と、その時。ミルフィオーレ側から戦闘前には似付かわしくない、気の抜けた声が聞こえて来る。声の主は前にメローネ基地で観た、あの、



「マグマ風呂野郎!!」



平然と煮えたぎるマグマにつかっていた、無精ヒゲの、赤い髪の男性。



「白蘭様〜。悪いが出番もねーし、嫌になって来ました〜〜〜〜〜…」

「申し訳ありません、白蘭様。ザクロがダレて来ました」



ザクロと呼ばれた赤毛の男性。彼は力なさ気に、その場に蹲(うずくま)ると、顎を付き、地面に寝そべってしまった。

桔梗から報告を受けた白蘭は事を急ぐ為、今度はミルフィオーレの参加メンバーを紹介し始める。


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あきゅろす。
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