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105.6つの花 ***


(この人いつの間に!?)

「…僕チン……デイジー。これ…、…あげる」



今にも朽ちてしまいそうな枯れた花を、ケース越しの私に差し出しながらデイジーがそう告げた。

――と、次の瞬間。



「駄目ですよデイジー」



ビシッと音を立てつつ、デイジーの顔に何かが巻き付き、物凄い勢いで引き戻して行く。彼を戻したのも、やはりこの男。



「名前様が混乱されているではありませんか」



桔梗だった。私はぎゅっと両手を握り締め、桔梗を睨みつける。その視線に気付いた桔梗は特に気にした様子もなく、穏やかな笑みを私に向けた。



「申し訳ありません、私がちょっと目を離した隙に…。デイジーは貴女のように美しく、滅び行く者に目がないんです」



私はぐっ唇を噛み締める。美しく何て、私には嫌味にしか聞こえないよ。



「さ〜て、それじゃあお互いの参加メンバーを発表しようか♪…あ、此処は“唯一”相談して決められるトコだからね」

「――白蘭さん」



此処で入江さんが前に出る。そして「リングを持たない自分は無属性で良いのか」と訊ねたのだ。

本来ならば、彼は晴の属性に分類される人。白蘭も、彼の提案に一瞬だけ笑みを消し去ったが、直ぐに笑顔を作り「特別に良いかな」と承諾した。

それを聞いた入江さんは、沢田さんに進言する。



「だったら綱吉君。僕らのメンバーは決まりだ」



大空に沢田さん。嵐は獄寺さん。雨は山本さん。そして無属性は、自分とスパナさんが適任だと入江さんは告げたのだ。

彼の提案に意義を唱える者もいたが、リボーンさんの「全員戦闘経験者の、このメンバーで良い」という言葉や「ジャイロルーレットの結果は決して悪くない」と言う入江さんの説得に、誰もが納得しかけた――その時。



「…そんな理由で納得すると思ってるの?」



やはり、納得していないメンバーが……約1名。



「…それに彼女は並中の所有物だ。勝手に持ち出す事は風紀委員が許さない。…よって、制裁を加える為にも僕は出るよ」



戦闘心剥き出しの風紀委員長、雲雀恭弥さんだった。いつ私が並中の所有物になったのか、突っ込みたいのは山々なのだが、今はそんな事を気にしている場合ではない。彼を止めなければ、ルール違反で失格になってしまう可能性があるから!

沢田さんと入江さんが慌てて止めに入るが、雲雀さんは一向に聞く耳を持ってくれない。誰も雲雀さんを止める事が出来ないのかと、皆が途方に暮れていた時、私達の元に天の助けが舞い降りた。





  「待てって恭弥」





聞き覚えのある声に全員が背後を振り返る。皆が振り向いたその先。そこに居たのは間違いなく、



「…ったく、しょーがねー奴だな、お前は」



6つの花


(此処に居る筈のない、跳ね馬・ディーノさん)


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