続いて私達の前に姿を現したのが、黒のコートに身を包んだ、白蘭だった。彼の後ろに控えているのは、メローネ基地のモニターで見た真6弔花。
「Σで、でたぁ!?びゃ、白蘭と真6弔花ーっ」
敵の出現に沢田さん達ボンゴレメンバーからは動揺の声が上がる。しかし、そんな彼らがある方角を見た瞬間、呆然と立ち尽くしてしまったのだ。
彼らの視線の先に居たのは白蘭ではなく、何故か私自身。どうしたのかと訊ね掛けて、私は直ぐに口を閉ざした。それは瞬時に自分の置かれている状況を理解したからだ。
「――こ、れは…」
手を伸ばせば触れられる距離に、透明な壁のような物がある。そう。私は、ガラスケースの中に閉じ込められていたのだ。
『名前(さん)!/歌姫!』
皆が一斉に私の名を叫ぶ。
「これはどう言う事ですかっ、白蘭さん!!どうして名前さんを…っっ」
「どうして?可笑しな事を言うね正チャン。彼女は今回のチョイス戦の大事な景品なんだ。大事な物は宝箱に入れて保管する。当然の事でしょ?」
だから彼女を保管してるんだ。悪びれた様子もなく白蘭は淡々と続ける。
そこで私は理解した。白蘭が、どうして私だけを先に転送させたのか…。
「これが……狙いだったのですね。私を一人だけ転送させて、このケースに閉じ込める事が…」
「うん。そうだよ♪流石に全員を転送させながら、名前チャンだけその中に転送させるのは難しかったからね。ほんと、成功して良かったよ〜」
「…何故こんな事を?」
「それはさ、幾ら名前チャンがボンゴレ側の人間だからと言って、綱吉クン達ばかりと一緒にいるのは不公平だと思って」
だからねと白蘭は言う。
「名前チャンにも、この“チョイス戦に参加して貰おう”と思ったんだ」
私は自分の耳を疑った。
「私が…チョイスに?」
「勿論、戦闘自体に参加して貰う訳じゃないよ。君を傷つけたくはないからね。……だから名前チャンには、僕達が戦っている間、誰にも捕まる事なく“フィールド内を逃げ回って”欲しいんだ」
簡単に言えば『鬼ごっこ』だよと白蘭は告げる。
「誰かに捕まれば、その時点でアウト。君は、君を捕まえた側の陣地に行き、そこでチョイスを観戦する。簡単でしょ?」
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