「てめーら遅ぇぞ!!」
眩い光の中から、獄寺さんの怒鳴り声が聞こえて来る。どうやらそれは、遅れて神社にやって来た、山本さんと雲雀さんに向けられたものらしく、
「わりー、わりー♪」
素直に謝罪する山本さんの声も耳に届いて来た。しかし、そんな山本さんとは対照的なのが、我が道を歩く雲雀さんだ。
「…僕は個人として来てるんだ。彼女は別としても君達とは関係ないよ」
「ちっ」
何一つ変わない、何時も通りのボンゴレファミリー。それが嬉しくて、私は小さく笑みを零す。
「歌姫…嬉しそうだな」
「嗚呼」
そんな私の姿を傍で見ていた入江さんとスパナさんは、顔を見合わせ、口元を綻(ほころ)ばせた。
けれど喜びを感じられたのは束の間の間だけ。吹き飛ばした筈の白蘭の顔が再び転送システムの前に現れ、彼は笑顔を浮かべてこう告げたのだ。
――“合格だよ”と。
そして、早速チョイスを始めようと宣言する。
直後、白蘭の傍から何かがこちらに向かって降りて来るのが見え、私はじっと目を凝らした。良く見ると、それはトランプの形をした無数のカードのような物で、しかも、そのカードは規則正しい列を作りながら私達の周りを取り囲んでしまう。
『先ずはフィールドのチョイスをするんだけど、君達の、その素晴らしい炎を称えて、フィールドのチョイス権は君達にあげよう。正チャンからルールは聞いてるだろ?』
チョイスとは選択のゲーム。戦うフィールドと戦士を最初にチョイスしなければ始まらない。人の持つ運命によって…。
『さあ、そのカードを1枚引くんだ、綱吉クン。それが君自身の選択』
つまり“チョイス”。
「し、しかしっ、敵の作ったカードでは…!!」
ジャンニーニが不安げに口を挟んだけれど、「白蘭さんはチョイスでだけは不正をしない」と言う入江さんの言葉を信じて、沢田さんは決断する。
「チョイスしよう」
そう言って目の前のカードに手を伸ばした沢田さん。彼が引いたのは…。
“雷のカード”
それが良い事なのか、悪い事なのか私達には分からないけれど、これが沢田さんの選択した運命。私達は、その運命を信じて着いて行くだけだ。
『じゃあ行こう。…でもその前に――今回の景品を回収しなきゃ♪』
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